仙蔵は腕枕をしながら、布団の上に広がったナマエの長い黒髪を目を細め、愛でるように撫でていた。
「また少し伸びたか」
「どうかな。たぶん先輩と同じくらいだと思います」
「私が手入れしてやるようになってから同じような具合になったな」
一房手に取り仙蔵はそれを口元へ運び口づける。その仙蔵の姿にナマエはドキリとした。
「仙蔵先輩の色気がすごい」
「ふっ、そうか?私からしたら、お前の白い肌のあちこちについている痕の方が色気があると思うぞ」
「その痕をつけたのは先輩ですよ」
「たしかに。お前の装束の下にはこんなにいやらしい痕があるなんて私しか知らない。お前に憧れる下級生のくのたまたちが知ったらどう思うだろうな」
「それを言うなら先輩だってそうですよ。あ、背中いっぱい引っ掻いてごめんなさい」
「大したことはない。湯浴びする時に数日沁みる程度だ。あと、これを見て赤面する文次郎をからかうのも楽しみだからな」
「…潮江先輩かわいそう」
ナマエが文次郎の名前を口に出すと、仙蔵は少し眉を顰め、ナマエの口を自分のそれで塞いだ。舌を絡ませ合いナマエの口の端から唾液が漏れた。口を離すと一瞬糸ができ、ぷつりと切れた。
「はぁ」
「同衾した後くらい他の男の名を口にするんじゃない」
「っ、先輩が、先に言いました!理不尽!」
「理不尽で何が悪い。好いた女の前では私もただの男、それでいいだろう。さて、ナマエ。休憩はそろそろ終いでいいか?」
今度はナマエの頬に仙蔵は唇を落とした。
「んっ、いいですよ、仙蔵先輩、大好き」
「ほんとに可愛いな、お前は」
夜が更けていくなかでまた二人は身体を重ねあった。