「聞いてくれる?コアラちゃん」
「どうしたの?」
「あのね、サボくんがかっこよすぎてつらいの」

コアラは目の前で書類の整理を手伝ってくれているナマエの口からそんな言葉が発され、思わずペンを持っていた手が止まった。

「ど、どういうこと?ナマエ」
「サボくんのこと見てたら自分でもわかるの。あ、今きと目がハートになってるんだろうなって。でもね、サボくんを見かけたら目で追っちゃうし」
「ちょっと待って!ナマエってサボくんのこと好きだったの!?」
「うん。あれ?コアラちゃんに言ってなかったっけ?」
「聞いてないよ!」

思わずコアラは声を荒げてデスクにペンを叩きつけた。
コアラにとってナマエは革命軍の中でもサボよりも付き合いが長く、年齢もナマエが3つ下ということもあって、本当の妹のように可愛がっていた。そんな目に入れても痛くないくらい可愛がっていたナマエから恋愛の話題が上がるのも初めてのことで、尚且つその相手がサボということに、コアラの眉間に皺が寄っていった。

「サボくんが『オレからコアラには伝えておく』って言ってたけど、言い忘れたのかな」
「え、なに?付き合ってる、の?」
「うん。もう1年くらいになるかな」
「あんの要件人間がぁ!」

コアラの掌底が振り下ろされるとバキィと音を上げ木製のデスクは半分に割れた。ちょうどそこへサボがひょっこりと現れた。

「お、ここにいたのか、ナマエ」
「あ、サボくん」
「ん?コアラのやつ、またデスク壊したのか?すぐ物にあたるのはよくないぞ」
「サーボーくーんっ!」

サボがナマエに近付くのを阻止するかのごとく、コアラはナマエを抱き寄せると、サボを指差した。

「ちょっと、サボくん!ナマエと付き合ってるってなに!?私、聞いてないんだけど!」
「あれ?言ってなかったか?」
「言ってないよ!聞いてないよ!要件人間なんだから要件くらいちゃんと言いなさいよ!」
「ははは。悪い悪い」
「絶対悪いと思ってないでしょ!それに、ナマエは私が妹みたいに可愛がってるんだから勝手に手を出さないで」
「別にナマエが誰を好きになるのも自由だろ。まぁ、オレ以外のやつのことなんて好きになることなんてないけどな」
「サボくん」
「ナマエもそこでときめかないの!って、目がハートになってる」
「や、やだ…恥ずかしい」
「恥ずかしがるナマエも可愛いけど、そんな顔させてるのがサボくんだっていうのが…やっぱり悔しい!」
「おい、コアラ。恥ずかしがるナマエが可愛いのは認めるが、それを見ていいのは恋人のオレの特権なんだから離れろって」
「姉としてサボくんにナマエはもったいないわ」
「おい、オレはナマエの恋人だって言ってるだろ」
ナマエを間に挟んで言い合うコアラとサボの様子を見ていたナマエは嬉しそうに笑った。
「私、コアラちゃんの妹でサボくんの恋人って幸せすぎて贅沢だね」

ナマエの言葉にコアラとサボは黙るしかなかった。結局は2人してナマエには勝てないのだった。

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