「留三郎先輩、遊びましょ」

用具倉庫で修補をしていると部屋を覗き込んでそう言ったのは恋仲であるナマエだった。

「見て分からないのか。今は用具委員の仕事で壊れた鍵縄の修補中だ」
「そんなこと見ればわかりますよ」

ナマエはさっと近づき俺の隣に腰を下した。六年はそれぞれ個別に実習があり、俺は自習ということで手が空いたから用具委員の仕事をしてるが、それ以外はまだ授業中のはず。何故、ナマエがここにいるんだ。

「それより、お前まだ授業中じゃないのか?」
「授業中ですよ。午後からの実技がかくれんぼなんです」
「かくれんぼって言うな。の術の実技か」
「はい。授業が終わるまでシナ先生から見つからなければ合格、見つかっても捕まらなかったらセーフ、捕まったら補習です」
「それでここまで来たのか」
「どこに隠れようかと思っていたら、伊作先輩に自習になった先輩が用具倉庫に向かったって教えてもらったので会いに来たんです」

俺の疑問に答えたナマエはそっと俺の方にもたれかかった。甘えるような仕草に可愛いと思った。でも、それを気づかれるのが照れくさく、修補に集中しているふりをして手を動かす。

「なんだかいけないことしてるみたいですね」
「何がだ?」
「みんな授業中なのに、こうして誰も居ない用具倉庫に先輩と二人きりで寄り添ってるの」
「なら真面目に隠れてろ」

嬉しそうに言うナマエに精一杯の先輩としての見栄を張る。こう見えて賢いナマエはきっと俺の意図がわかっているのだろう。

「もしシナ先生が来たら、先輩が私を連れて逃げてくれますよね?」
「その時は大人しく捕まって補習を受けるんだな」
「補習なんか受けたら、先輩と一緒にいられる時間が減っちゃうので嫌です」

口を尖らせてはまたそうやって可愛いことを言う。色恋においては男なんかより女の方が一枚も二枚も上手だと思う。そう言われたら俺はナマエの手を引いてシナ先生から逃げるしか選択肢はない。

「手助けした礼はもらえるんだろうな」
「勿論!なんなら先払いしますね」 

ナマエは身体を動かして俺の頬に唇を落とした。俺は持っていた修補中の鍵縄を放り、ナマエの身体を抱き寄せると、そのまま口吸いを繰り返した。

「んっ……先輩、ふっ…苦しい…はぁ…んっ」
「いけないことをして、先輩に手助けを頼むような後輩にはこれくらい身体で教えてやらないといけないだろ」

授業が終わるまであとどのくらいかわからないけど、願わくはもう少しこのままナマエを堪能していたいと思った。

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