今日は朝から革命軍の中がざわざわしていた。理由は一つ。どいつもこいつもオレを見るなり「参謀総長、誕生日おめでとうございます!」と口ぐちに揃えて言ってくる。

「サボくん、誕生日おめでとう」
「おめでとう、サボ」
「ありがとう。コアラ、ハック」

部屋で書類に目を通していると、コアラとハックが入ってきた。コアラはデスクの前に立つと、ダイアルを一つデスクの上に置いた。

「音貝?」
「そう。声を録音しておけるあれね」
「珍しい物持ってるな」
「これはサボくんへの誕生日プレゼント。ナマエからのね」
「ナマエからの?」

ナマエは革命軍の諜報部門で働くオレの恋人。ずっと片想いをしていてようやく想いが通じたがナマエは先月から潜入作戦に駆り出され、先月から遠征している。出発の時に、オレの誕生日には帰って来られないのをとても残念そうにしていたのを思い出した。口を膨らませて渋々言っている顔もかわいいと思った。

「じゃあ、ちゃんと渡したからね」
「物を壊さんようにな」

ハックが謎に釘を刺してオレの部屋から二人は出て行った。おそらくオレ一人に聞いてほしいということだろう。オレは持っていた書類を一旦デスクに置き、ダイアルのボタンを押した。

「もう録音始まってるかな?えっと、サボくん、おはよう!あ、お昼に聞いてるかもだし、こんにちはかな。一応こんばんはも言っておこう、こんばんは!ナマエです!3月20日、お誕生日おめでとう!電伝虫なら当日に直接言えるとも思ったけど、そんな余裕があるかわからないから音貝に録音して、それをコアラちゃんにお誕生日に渡してもらうようにお願いすることにしました」

一人で音貝に向かって話しているナマエの姿を思い浮かべ、オレの顔には笑みが浮かんでいた。

「誕生日はサボくんの人生の始まりの日だよね。サボくんが生まれて、命がけで海へ出て、ドラゴンさんが助けてくれて、そして私に出逢ってくれた。いっぱい哀しいこともあったり、大変なこともあったと思うけど、今をサボくんが生きていてくれて、私はとても嬉しいです。そして、これからのサボくん未来にはサボくんの隣でずっとずっと私がサボくんにいっぱいの愛をあげたいと思うの。私の気持ち、ちゃんと伝えたいってずっと思っていたんだけど、サボくんを前にしてこういうことを言うのはすごく恥ずかしいから、誕生日プレゼントとして言葉と声に残しました。あっ、ちゃんと帰ってきたらプレゼントも用意してるからね!えっと、改めて、サボくんお誕生日おめでとう。生まれてきてくれて、本当にありがとう。大好きだよ」

音が止まり再生が終わった。オレの眼からはぽろぽろと涙が零れて止まらなかった。嬉しくて倖せな気持ちってこんなにも胸が熱くなるのか、涙が止まらなくなるのか、そんなことオレは知らなかった。

「ナマエはすごいな。まだまだオレの知らないことを教えてくれるなんて」

オレは涙を拭ってからデスクの引き出しを開けた。そこには小さな箱があった。遠征から帰ってきたらナマエに渡そうを思っている指輪。大切だから、愛しているから、守りたいと思ったから、いろんな想いを込めてそれを用意した。音貝をその箱の隣に置いて、引き出しを閉めた。オレの想いと、ナマエの想いがずっと並んでいますようにと祈った。

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