男子寮に入れる女子なんてほとんどいない。身内の人間くらいだ。ただ、それでも彼女を自分の部屋に呼びたいと誰でも思うだろう。かくいう俺の例外に漏れず、同室の太一の協力を取り付け、こうして部屋にナマエを呼ぶことができた。
「ここが賢二郎くんがいつも生活してる部屋なんだね!」
「太一も一緒だけどどな」
「そっか!だからかな、思ったより賢二郎くんの香りが少ないや」
鼻をくんくんとして部屋の匂いを嗅いだかと思うと、はにかみながら俺にそう笑いかけるナマエがかわいくて仕方ない。付き合ってもう半年くらい経つし、それなりにヤることはヤったけど、こういうナマエの些細な仕草も好きだと思う。部屋の中を興味深そうに見ていたかと思うと、ナマエは壁側に並んだベッドの間に立っち、右のベッドを指さした。
「こっちが賢二郎くんのベッド?」
「正解」
「やっぱり」
「やっぱり?」
「うん。川西くんのベッドってなんとなくだけど、布団とか起きたままの状態になってそうなイメージ」
「まぁな」
「ていっ!」
かわいい掛け声とともに、ナマエは俺のベッドにダイブした。そして枕に顔を埋めた。
「くんくんすんなよ」
「えー」
何をしているかわかって、釘をさしてやれば、ナマエは不満そうな顔を俺に向けた。ってか、俺が普段寝ているベッドにナマエがいるって状況と、今日はナマエが短めのスカート履いてるからか、太ももが見えていて、結構理性が跳びそうになっているこっちの身にもなってほしい。
「だって枕から賢二郎くんの香りすごくするから、安心するんだもん」
「発言が変態だな」
「もう!かわいい彼女って言ってほしいなぁ」
苦笑するように言っているあたり、俺がナマエのことをかわいいって心の中では思っていても、簡単に口に出せる性格じゃないのは、こいつにもわかっているらしい。うつ伏せになっているナマエを壁の方へと移動させると、空いたスペースに体を滑り込ませた。ナマエの頭の下に腕を通し、腕枕の状態にしてから、抱き寄せると、ナマエの顔が俺の胸元あたりにきた。
「いつもかわいいって思ってるし、好きだよ、ナマエのこと」
「ふふっ、ありがとう」
せっかく来てくれた彼女の為だし、自分のベッドだからか、俺もいつもより素直になれた気がした。嬉しそうにしていたナマエは再び俺の胸元をくんくんして、気がつくと眠ってしまい、おあずけ状態になった件については、また後日存分に楽しませてもらおうと思った。