たまに学級委員長委員会を手伝てくれていて、普段の姿はおっとりとしていてかわいいなって思っていた。そんな彼女と一緒に演習を兼ねた忍務につくことがあって、冷静に音もなく敵を倒していくくの一としての姿のギャップに、俺は胸がじわりと熱くなった気がした。
忍務が終わり、俺は外で、彼女は小屋で忍び装束から着替えて合流し、学園への帰路についた。
「無事に終わってよかったね」
「ナマエちゃんがあんなにくの一してる姿、初めて見た。流石山本シナ先生のお墨付きをもらうだけはあって、俺なんて必要ないくらいだったね」
「そんなことないよ。尾浜くんがいてくれる、尾浜くんになら背中を任せられるって思ったから、久しぶりに満足に戦えたの」
彼女の言葉一つで忍務後だというのに足が軽くなる。でもまだ二人の時間を終わらせたくなくて、いつもよりゆっくり目に歩けと自分に言い聞かせた。
「あ、茶屋があるね。ナマエちゃん、ちょっとあそこで休憩して帰らない?」
「いいね、行こう」
茶屋にそれなりににぎわっていて、外の椅子に座ることにした。一つのお品書きを手に取り二人で覗き込むから、ナマエちゃんの顔がいつもより近い位置にあって少しドキドキした。睫毛長いんだな。
「私何にしようかなー三色団子も美味しそうだけどみたらしも捨てがたいしきなこもいいよね」
「意外にナマエちゃんって食いしん坊だったりする?」
「食いしん坊じゃないよ。無事に終わった忍務の後って何食べても美味しいってならない?今日は尾浜くんも一緒で絶対いつもより美味しく感じると思うから、より美味しく食べたいものを、って尾浜くん?どうかしたの?」
口に手をあてお品書きから目を逸らす俺を彼女は不思議そうに見てくる。自分でもわかるくらいににやけている今の俺の顔を見られたくなかった。俺と一緒だと美味しく感じてくれるって、なんかそれすごくいい。目を閉じて深呼吸をして、落ち着け俺と言い聞かせてから彼女の方を見た。
「な、なんでもないよ」
「もしかして忍務で疲れてる?寄り道せずに帰る方がよかったかな?」
「茶屋で休憩しようって言ったのは俺だよ。大丈夫、ちょっとこう、ときめきがすごいだけだから」
「ときめき?」
「それより食べたい団子が決まらないなら全部頼んで俺と半分にするのはどう?」
「でもお団子って三個ずつだから半分こだとどっちかが多く食べることになるだけど、尾浜くんはそれでいいの?」
「俺も君と一緒だときっとどれも美味しいんだろうなって思うし、今も胸いっぱいだから半分で十分だよ」
「わかった。おばちゃん、三食団子と、みたらしと、きなこを全部一個ずつください」
しばらくしてお茶とお団子が運ばれてきて俺達の間に置かれた。
「うわぁ、美味しそう」
「先に選んでいいよ」
「じゃあ私きなこからいただきます」
「俺はみたらしから」
お互い一個ずつ食べては相手へと渡して串には残り一個ずつのお団子。
「最後の一個はどうしよう?」
「ナマエちゃん全部食べていいよ」
「え、尾浜くんは?」
「今日は俺はいい。代わりに、またこうして俺と一緒に出かけて団子食べに行ってほしいんだけど、だめかな?」
俺は彼女を見つめながら俺たちの間に置かれていた彼女の手に自分の手を重ねると、彼女の身体ぴくりと跳ねた。
「お、尾浜くんっ!あの、手が」
「うん。俺のこと意識してくれたらと思ってね」
少しずつ赤くなっていく彼女の顔に俺は自分の中に芽生えたものを確信した。彼女のことが好きだと。そうと分かれば彼女にどんどん俺を知ってもらって好きになってもらおう。攻める手は緩めずにね。