【双子兄】
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気づいたら視界に広がったのは、天井と……。
「やっと気づいたのだな」
「サガ…?」
憂いと安堵、反する感情が織り混ざった顔のサガが、こちらを見下ろしていた。
途切れた記憶を辿るに、どうやら自分は仕事の途中で意識を失ってしまったらしい。
恐らく疲れからくる貧血あたりだろう。
(迷惑…かけちゃったか………)
一人だったらきっと盛大にため息をついていただろうが、生憎その迷惑をかけてしまった相手が目の前にいるのだ。
まずは詫びねばならない。
「迷惑をかけてごめんなさい。体調管理が出来ていなかったみたい」
「ああ全くだ。このまま目覚めないかと心配したではないか」
「それで、仕事は?大丈夫?」
「今は気にしなくていい」
「でも明日締切の書類が三つあるから……」
遅れた分は今から埋め合わせなければ、と、起き上がろうとするも、額にのせられた手に阻まれた。
添えられただけで決して強くはないが、有無を言わさぬ意思があった。
「サガ…?」
「聞こえなかったのか?私は気にしなくていいと言ったのだ」
「今は、が抜けているけど……後で気にするくらいなら、今から気にした方がいいに決まってるよね?」
「それだけ言えるのなら心配は要らぬようだな」
「だから今から仕事「必要ない」
異論は認めないとばかりにきっぱり言いきられては、流石に口を開けない。
開いたところで恐らくサガは聞き入れてくれないだろう。
己の情けさに落ち込み出したところ、頭上からふってきたのはため息だった。
「無理はしないでくれ」
「……」
「お前が仕事熱心なのはよく分かっている。私の負担を少しでも減らそうとしているのも。だが――」
「倒れたら余計な負担を増やすだけだからね…」
「そうではない。私はお前の心配をしているのだ」
「私の……?」
確認するように言葉を口にすれば、といつの間にか握られていた左手にぎゅっと更なる力が込められた。
「お前は私をワーカーホリックだと言うが、人のことは言えんな」
「確かに…これからは気をつけるよ」
「絶対だ。いいな?」
「分かった。約束する」
そう言ってほほ笑むと、漸く安堵したのか、サガもまたフッと表情を和らげると、握っている私の左手に口づけを落とした。
「約束だ」、と、再度念を押すように。
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2015/5
恋人でも片思いでもどちらでもとれるように書こうとしたはずが、最後で前者に振り切れましたww
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