夢の中



無防備にも程がある。
目の前で眠る相手に、ムウは心底頭を抱えた。

彼女、シマエナガを見つけたのは、ムウが守護する白羊宮。
何を思ったのか、床に腰かけ柱に背を預けたまま熟睡していた。
ムウの帰りを待っていたうちに待ちくたびれでもしたのだろうか。
普通なら考えられる話だが、何を隠そうこのエナガ、ある意味において普通ではない。

異なる世界と世界を行き来できるという特殊な能力を持っている彼女は、その感覚もどこかズレている。
時空移動はそれなりに体力を消耗するらしく、その限界がきたら眠り込んでしまうとのこと。
行き倒れもいいところである。

ムウが初めてそれに遭遇した時も、また今のような状況であった。
帰りを待っていてくれたのかと心躍るも虚しく、疲れてそのまま倒れてしまった、と、照れながら真実を告げられた時には、諸々の衝撃で眩暈がしたものだ。

ムウの気持ちなど知る由もないエナガは、今日もまた夢の中。


「いい加減起きないと、…どうなっても知りませんよ?」


呆れ半分、忠告半分で囁いた言葉は、眠り姫に届くことはなかった。



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