片頭痛/及川徹
ガチャガチャと鍵を開ける音が聞こえ、もうそんな時間かと重たい体を起こした
「ただいまー」
「おかえりなさい」
鍋を火にかける私の顔を見て、キョロキョロとなにやら辺りを見回し、最後にカレンダーで止まった視線。
そして首を傾げて尋ねられた。
「…片頭痛?」
「当たり。よく分かったね」
「横になってたでしょ?ここ薄っすら跡になってる」
片頬に伸びてきた手が、跡が付いているであろう箇所をぐりぐりと押す
「ゴミ箱に薬のゴミ捨ててあるし、晩ごはん手抜きメニューだし、でも生理じゃないしね?」
そう言う徹の表情はやけに嬉しそうで
「なんでそんな嬉しそうなの」
「いやー俺の旦那力も上がってきたかなって。
一緒に暮らしだした頃はさ、お前は無理していつも通りしようとするし。
俺はお前の不調に気付かないし。
手抜き出来るようになってくれて嬉しいよ」
手抜きされて嬉しいなんて、と憎まれ口でも叩いてやろうかとも思ったけど。
頬に当てる手と、愛しげに見つめてくる瞳が優しかったから
今日の所は甘んじて受け入れる事にした。
2015.06.25
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