先程から、隣でおでんパンを頬張っていた少女の視線を感じる。
いつもは任務が終わるとナナとおでんパンを食べることが日課になっている彼女だが、今日のナナはブラッドを創設したラケルに呼び出されているらしく不在だった。
恐らくはメディカルチェックだろう。ゴッドイーターチルドレンと呼ばれる彼女には色々とあるのだ。
普段なら待っているところだが今回は少し時間がかかりそうだと話していたことを思い出し、こうしてラウンジで一人パンを食べていた。
そこへ報告書の提出を終えたギルバートがやってきて、冒頭に至る。
先の任務で1年目の彼女にも分かるような大きな失敗をしてしまっただろうか。
確かに想定外のアラガミが侵入したことで当初の作戦を変更しなければならなかった。全てにおいて正しい判断が出来ていたのか問われて力強く頷ける自信はない。
「……キトリー、どうかしたのか?」
「ん、何でもないですよー。今日もみんなが無事で良かったなあ、って思ったりはしましたけど」
一緒の任務だったナナとロミオが何度かピンチに陥りヒヤッとする場面はあったが、全員が無事に帰還できて良かった。それはギルバート自身も思っていたことである。
しかし話の繋がりが見えない。こちらをじっと見つめていることとその話がどう関係するのだろう。
正直、ずっと見つめられていると落ち着かない。相手がキトリーなら尚更だ。
「キトリー、顔が近すぎるような気がするんだが……」
「え……あっ」
無意識のうちに顔を近付けすぎてしまっていたことに漸く気付いたらしいキトリーがバッと顔を離した。
そんなに慌てて離さなくても、と思ったが彼女はそれどころではないようだ。
耳朶まで真っ赤になったキトリーは口をぱくぱくと動かしているが残念ながら声になっていない。
ギルバートとしても流石に少し恥ずかしいのだが。
「あああ、あの、これは、別に深い意味とか、ないですから……っ!」
その行為に深い意味があったのなら色々な意味で困ってしまうのだが――主にギルバートが。
本人には決して言わないが、真っ赤になって慌てるキトリーがかわいくて面白い、なんて。
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