外部居住区にある小さな店の一角で、キトリーは悩んでいた。
彼女の視線の先にあるのは数種類のアイスクリーム。こんな時代なのだから種類豊富、というわけではないが美味しそうなアイスクリームがいくつかあった。


「このチョコレートのアイスがおいしそうです。……あ、でもこっちのバニラも捨てがたいような……ううん、困りましたねぇ」


普段頑張っているキトリーへのご褒美、という名目でギルバートがキトリーをこの店へ連れてきたのは少し前だ。
ギルバートも此処へ来たのは初めてだが、外部居住区に実家があるコウタが気分転換に行ってみたらどうかと話していたらしい。キトリーと行ってきたら、と提案したのはロミオだった。
ただ品物を眺めるだけ、というのもつまらないだろう。極東の夏は暑いしアイスクリームを1つご馳走する、とギルバートが言うとキトリーは目を輝かせた。


「この“抹茶”もちょっと気になりますし……どうしましょう?」
「どうしましょう、って言われてもな……そこまで悩むことか?」
「せっかくギルが買ってくれるんですから、一番おいしいものを食べたいです」


大袈裟だな、と苦笑するがキトリーにとっては大事なことらしい。
ギルバートとしても彼女が真剣に選んでいるのは嬉しくて、甘やかしたくなる。
暫くしてキトリーはチョコレートのアイスクリームに手を伸ばし、それをギルバートに差し出した。どうやらこれに決めたらしい。


「わたし、やっぱり一番最初に気になったこのチョコレートにします」
「了解」


じゃあ俺はこっちだな、とギルバートは先程キトリーが悩んでいたバニラアイスを手に取ると彼女は不思議そうな顔をした。
そんな顔をされるほどバニラアイスを選ぶイメージがなかったのだろうか。それともギルバートが“このアイス”を選んだことに対しての反応か。


「キトリーはこれと悩んでたんだろ?」
「確かにそっちも気になってましたけど……」
「じゃあ俺がこれを買えば両方食べられるな」
「……?」
「これと、キトリーが選んだアイスを半分ずつ食べればいいだろ」
「はんぶんこですかー?」


はんぶんこ。
まあ、言ってしまえばそうなのだが、口にされると少しくすぐったい。
嬉しそうにふわりと笑んだキトリーを見てあたたかい気持ちになるのを感じた。




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