普段は極東支部のラウンジで神機使い達や他の職員の為に料理をしているムツミの姿が今日は見えない。
代わりにいつも彼女がいる中央のカウンターの中に桜色の少女がいた。
何をしているのだろうか、とラウンジの入口付近から暫く少女を観察していたらこちらに気付いた彼女があ、と口を開く。


「キトリー、先程からここで何をしていますの?」
「料理ですよー」


ムツミが余っていた食材を分けてくれ、こうしてラウンジのスペースまで貸してくれたのだという。
ノルンは料理が出来ない。今まで従者が全てやってくれていたのだ。楽しそうに料理をするキトリーが少しだけ羨ましく思う。


「そういえばわたくしこれを伝えに来たのですけれど、ユノ達も時間があるみたいですから今からみんなでピクニックをしませんかって話になりましたのよ」


ジュリウス達ブラッドのメンバーと、ユノとサツキで。戦いばかりの日々だからたまには良いだろうと、先程そんな話になったのだ。
流石にアラガミや赤い雨など不安が多いアナグラの外で神機も持たずに弁当を広げて、なんてことは出来ないがフライアにある庭園ならば雰囲気は味わえるのではないか。
他のメンバーもそれぞれその場にいなかった人に声をかけたり先に庭園に向かったりしている。


「じゃあ、丁度良かったですね」
「丁度良かった?」
「今おでんパン作ってたので、これならピクニックでも食べられるかなーって」


ほら、と彼女が見せてくれたのは確かに普段ナナが食べているおでんパンだ。これを初めて見たときは極東には変わった食べ物があるのだと驚いたものだが。
作りすぎたから恐らく人数分のおでんパンはあるとキトリーは笑んだ。


「では、おでんパンを運ぶの手伝いますわ。一人では大変かもしれませんし、きっとみんな庭園で待っていますわよ」


ピクニックなんてもしかしたら初めてかもしれない。
外に出ることが出来ないのは残念だが、柄にもなく子供のようにわくわくした。



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