ルフス・カリギュラ。
以前ギルバートやハルオミと共に討伐した新種のアラガミ。あのときはケイトの想いのお陰なのか弱体化していたので苦労することもなく倒せた。
あの赤いカリギュラが種として定着してしまったらしい。弱体化していた前回とは比べものにならないほどの戦闘力を有するそのアラガミ相手に苦戦を強いられていた。


『……っ、ハルオミ隊長、戦闘不能。誰か救援を』


ハルオミの弟でもある新人オペレーター、テルオミの少し焦ったような声が無線越しに響いた。
実の兄がアラガミによって吹っ飛ばされたのだ。冷静でいられる筈がない。しかしあくまでも神機使いをサポートするオペレーター。次の瞬間にはいつもの落ち着きを取り戻していた。


「ハルさんはわたくしが助けますわ……っ。二人はアラガミの攻撃に備えてください」


ルフス・カリギュラの猛攻は続く。こちらの都合に合わせて攻撃を中断してくれる、なんてことは当然ない。
仲間が倒れたことに動揺している場合ではないのだ。早くリンクエイドしなければ。
先程まで敵の攻撃を装甲で受け止め、反撃のタイミングを窺っていたノルンは一瞬の隙をついてアラガミと距離を取る。
ジュリウスとキトリーが敵の気を引いている今がチャンスだ。急いで倒れているハルオミに駆け寄る。
――ノルンの動きに気付いたルフス・カリギュラが、ブレスを吐き出そうとする動きを見せた。装甲を展開して身を守らなければ。
しかし反応が遅かった。間に合わない。全身を襲う痛みを覚悟しぎゅっと目を閉じた。


「……?」


だが、予想していた痛みは来ない。
恐る恐る目を開くと、アラガミとノルンやハルオミの間に立ち、装甲を展開して攻撃を防いでいるジュリウスとキトリーが見えた。


「ノルン、今のうちに」
「こっちはわたしたちに任せてください!」
「……助かりましたわ、二人とも」


二人に感謝し、倒れているハルオミに触れた。
早く立ちなさい、と自らの体力を半分ほど彼に分け与える。体力を半分ほど削られるのは流石に少し、つらいかもしれない。
ハルオミを助けに向かった自分もそこまで余裕があったわけではないのだから。
ジュリウスはその間もルフス・カリギュラの攻撃を受け止めてくれ、標的を起き上がったばかりのハルオミと体力の減っているノルンから逸らそうとキトリーがアサルトで敵の頭を撃ち抜く。
アイテムで何とか立て直したノルンはすぐにロングブレードで強烈な一撃をブースターに叩き込んだ――。


*


赤いカリギュラとの死闘を無事に終え、帰投の準備を始めた。何度もピンチに陥ったが、その度に誰かに救われたような気がする。
途中から必死で、誰がどうやって助けてくれたのかまでは覚えていないのだけれど。


「今回も皆さん無事で良かったですね」
「わたくしが無事だったのはキトリーのお陰ですわ。ハルさんの救援に向かったあのとき、あなたやジュリウスがいなければきっとわたくしは倒されていましたもの」


だからキトリーは命の恩人だとノルンは笑った。


title/秋桜



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