銀色の髪がふわりと揺れて、小さな頭がぺこりとお辞儀をする。彼女の目の前には桃色と紫の頭。奇しくも同じ日に生を受けた者たちだ。
「キトリー、ギル。お誕生日おめでとうございます。」
律儀なシエルはふたりの誕生日が一緒だと知って、細やかなパーティーを開催した。それは決して華やかではない。だが、主役のふたりはいささか恥ずかしそうに頬を朱色に染めていた。
ナナ特製の「あんたが主役」というたすきは無理矢理にギルバートの肩に引っ掛けられ、リヴィが丹精込めて育てた鶏の卵は今日だけ、ケーキという姿に変わった。
「えへへ、ありがとうございます。」
「まあ、その……ありがとよ。」
同じ反応なのに、何故か正反対に見えて。シエルは頭をあげると嬉しそうに微笑んだ。
ギルバートはふと、桃色の頭を見つめる。もしかしたら生まれてから5年間、ずっと彼女を待ち続けていたのかもしれない、と。お伽噺のようなハッピーエンドが紡げるかはまだ分からないが、好きですと花のような笑顔で言ってくれた日から守り抜くと誓った女の子。
「キトリー。」
「はい?」
「……誕生日、おめでとう。」
赤くなった頬を隠すようにそっぽを向き、ぽつり、呟いた。逃げ込んだ視線の先でロミオが覚えたての一発芸を披露している。まるで締まらない雰囲気に悪くないと感じ、そして彼女の隣で安寧を覚える。ブラッドへ来てから、随分と穏やかな気持ちになったものだ。
「ギルも、お誕生日おめでとうです。」
視界の端で笑うその笑顔は、優しい太陽のようだった。
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