無事ならいいんだ、とニールが呟く。少年にしては低く落ち着いたその声の柔らかな丸みが、彼の安堵を言葉以上に表しているようだった。ミネットは思わず俯く。アラガミとの混戦で座標をロストした少女は、ほんの数時間とはいえ行方不明になっていたのだ。無事に見つかりはしたものの、一歩間違えば取り返しのつかないことになっていたことは明白だ。
 ニールが背負っているものを思えば、彼の様子には納得がいった。だからこそ、申し訳ない気持ちがある。そうしたくてしたわけじゃないにしても、きっと、想像もつかないほどの心配をかけただろう。それこそ今、こうして見せる様子以上の。普段からよく気にかけてくれて、手伝いもしてくれて、とても大切にしてくれる君の心に、わたしはひどく冷たいものを流してしまっただろう。そのことが申し訳なくて、少しだけ悲しくなった。

「ごめんね」
「……」

 返事の代わりに、腕を掴む手に力がこもった。強い力が、ミネットを責めるようにその服に皺を刻む。

「……ありがと」
「ふん」

 パッと払うように腕が離される。
 ──こんな風に泣きそうに怒る人を、わたしは初めて見たのだ。



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