このひと手間が、アイラブユー
ベッドの中を這い回る熱を感じて目が覚める。今日はお休みだから目覚ましは掛けていない。
そうは言っても朝の強い彼の起床によって
わたしは一度目を覚ますことになるのだけれど
朝から彼に会えるのは嬉しいからそれは全く苦にならない。
そんなことを考えてしまって少し緩んだ頬のまま
ゆっくりと眼を開ける。
そこには大好きな彼が、私の目覚めを待ってたみたいにこちらを見つめていた。
「沙羅ちゃん、おはよう。」
おはよう、と返事をすると同時にキスを受けた。
少し癖のついた金髪が愛おしくて手を伸ばす。
分け目を触ると少しくすぐったそうにした。
「いま、何時?仕込みは?」
「7時。昨日終わらせてあるから今日はゆっくりだよ。沙羅ちゃん休みだから、少しでも一緒にゆっくりしたくて。」
昨日は後半に勢いがなくなってしまって
手が空いてしまった私はフロアの掃除に回ってた。
キッチンもその間に今日の準備まで終わらせてたんだ。
だから昨日のうちに、と言ったサンジくんも
昨夜いつものように同じタイミングでベッドには入れた。
いつも思うけど手際が良い。どこまでもスマートな王子様だ。
時計を見る。
オープンが10時だから30分前にお店に行くとしても
あと2時間半は幸せな朝の時間を過ごせるだろう。
「サンジくん、ありがとうね。」
「いいよ〜。てかオレがしたかったんだし。」
「でもサンジくん、眠くないの…?」
普通に考えるとあと2時間半はゆっくり出来るんだ。
私ならあと1時間眠って1時間半で準備をするけどな。
それにパンツ一丁のサンジくんの姿と
サンジくんのTシャツを着せられた自分の姿を見て
昨日の情事を思い出す。毎日毎日、体力ありすぎ。
「オレは平気。沙羅ちゃん隣にいるだけで癒されるし。沙羅ちゃんは?」
「調子いいんだから。私はお休みだから多少眠くても大丈夫だよ」
「よかった〜!それじゃ、朝からいちゃいちゃしちゃおうか?」
そう言ったサンジくんが間髪入れずに腰を抱きにくる。
「ちょっと馬鹿!今から仕事でしょ?」
「何もしねぇって!癒されてェの。くっつかしてよ〜」
これが惚れた弱みなのかもしれないけど
調子の良いサンジくんに私は振り回されっぱなし。
でも私はサンジくんのこと大好きだから
こうして四六時中求められるのは
連れないフリをしながら実は嬉しくてたまらない。
顔中にキスを受ける。
たまらなくなって私も彼にキスを返す。
目尻、まぶた、鼻筋、ほっぺた。最後に唇。
そして間髪入れずに入り込んでくる舌。
「ん、っ、あ〜気持ちい。沙羅ちゃんとのちゅー最高〜〜!!」
「そんな恥ずかしいこと言わないでよ…」
「照れる沙羅ちゃんも素敵だ〜!」
再び覆い被さられてキスが再開される。
こっそり目を開けてサンジくんのキス顔を覗く。
こんな笑顔でキスする人見たことない。
「ふふ」
「ん、何?」
「サンジくん可愛いね」
「オレにとってはその笑顔が1番可愛いよ」
そう言ってほっぺたにもう一度キス。
この時間が幸せ過ぎて何度も時計を見てしまう。
7時半になっていた。
「そろそろ起きない?」
「え〜何で」
「シャワー浴びたいでしょ」
「一緒に入る!?」
「馬鹿。朝ごはんも食べなきゃいけないし、服だって着なくちゃ」
サンジくんの方から私を離れるって到底出来ないことだとわかってる。
これは自惚れとかじゃなくて、サンジくんの性格からしてそうだ。
女の子に恥はかかせたくない、
誘いは断らないタイプの彼が仕事だからと
自分の都合でベッドを出るなんてなかなかしない。
だから私が動いてあげなくちゃ、と…
そう思って布団をめくり先に外へ出ようとしたのに
サンジくんは私の手を掴んで離してくれない。
「ちょっと、なに?」
彼はニッコリとしたまま
私の手を彼自身の持つ熱へと導く。
下着越しのそこはわかりやすいほど硬く勃ち上がっていて。
「きゃ!!ちょっと!!なに考えてんの!」
「ね、お願い。もう少しだけ!」
「今から仕事でしょ!?」
「すぐ!すぐ済むから!ね!?」
そんなこんなでベッドへ引き戻される私。
いいの、平気なの。よくある話だから。
嬉しさを通り越して呆れすら感じるけれど
そんな彼に愛想を尽かすことは到底出来ない。
私に出来ることは黙ってキスを受け入れることだけ。
「っん、ほんとに、するの…?」
「だって、こんなにいちゃいちゃして、もう我慢できねぇよ…」
「…仕込み終わらしてない方がよかったんじゃない?」
「ん、それは好きでしてるからいいんだよ。オレ何するのにも手間掛けんのが好きなの。」
「そうなの?」
「うん。だからいつも前戯だって焦れったいくらい丁寧にするでしょ?」
「それはいいけど…今日は早くしてよ…」
「それは、おねだり?」
それもサンジくんの性格だって私はわかってた。
料理に対しても女の子に対しても、
好きなもののためならプライドをかけて、
時間や手間を惜しむことは絶対にない。
だから料理でもえっちでも
一度始まると抜かりなくとことん行うのだ。
こうして会話を続けている間にも
彼はスルスル私の服を脱がして行ってしまう。
寒くないかと気遣い2人の上に毛布までかけて。
本当に抜け目がないんだから。
「そんじゃ、失礼しま〜す♪」
馬鹿な台詞とは裏腹に
私の胸を掴む手つきは甘くて丁寧だ。
残された時間を目一杯使って、
彼は今日も私のために手間暇かけて愛を注いでくれる。
美味しいご飯も、丁寧な愛し方も、全部私のもの。
後はその愛に身を委ねるだけ。彼のそんなところが好き。