それってつまり
サンジくんってちょっと苦手。女の子に甘いのはわかるけど誰にでも優しく出来るのが私にはわからない。
お料理は美味しくて素敵だけどやっぱり少し女の子を贔屓しすぎかな。
現代のスラングを使って一言で表すならチャラ男ってやつ?
島にいた友達にこんなこと話したら
だから沙羅はいつまで経っても処女なのよ〜
って馬鹿にされるんだろうけど。
件の男は甲板で日光浴中の女性クルー達に
サンジ特性ジュースなんてのを持ってクネクネしてる。
上からその様子を傍観してたら不意にこちらを向いた彼と目が合う。
陽射しが金髪に反射してキラキラしてる。
綺麗と思ってしまった自分が悔しい。
「沙羅ちゃんも降りておいで!ジュース美味しく出来たよ」
そんな良い笑顔で手を振らないでよ。
その態度が気にくわないわけ。
ヘラヘラヘラヘラ、女の子に媚び売っちゃってさ。
「いらない!」
そう一言大きな声で発して
サンジくんの笑顔に背を向けて中へ入る。
残念そうな顔が背中越しでも目に浮かぶ。
扉を閉めて1人になる。
わかってる。サンジくんの態度は嫌だけど
素直になれない自分が1番嫌い。
その優しさを普通に受け取って流せばいいのに。
でもどうしたらいいかわからないんだもん!
こんな性格なんだから異性に優しくされたことなんか一度だってない
だからしょうがないよね………
「沙羅ちゃん」
「うわっ!」
うわって何?ひでぇな〜
なんて、いつもの軽口を叩きながら
咥えたタバコに火をつけて彼はやってきた。
「沙羅ちゃん、ジュースいらねぇの?」
「いっ、いらない…」
思わず顔を背けてしまう。
あー早く。早く出て行ってよ…
「本当にいらない?」
くるっと顔を背けた方へ回って
私の表情を覗き込んでくる。
顔が近づいてくる。こわい。
「いらないからっ!しつこいっ!」
思わずサンジくんの胸を押しのけて
大きな声を出してしまう。
ハッとして顔をあげればサンジくんは笑顔を失っていた。
「何でそんなにオレに冷たいの?」
「ご、ごめん…」
「…何で?」
顔がどんどん近づいてくる。こわい。
でもその真っ黒の瞳に捉えられて逸らせない。
どうしてなんだろう。
サンジくんってちょっと苦手だと思ってた。だって
ちゅ、と唇が触れる。
一旦離れてまた目が合う。もう駄目だ。動けない。
再び唇が触れ合おうとしたその時、
「おーいサンジー!!!オレたちにも飲み物くれよーーー!!!」
外から船長の声が聞こえてやっと視線を逸らせた。
私の腰を抱いたままのサンジくんは、
耳元で一言だけ囁いて甲板へ出て行った。
その一言で私は腰が抜けてしまい床へへたり込む。
頬は熱を持って真っ赤に染まってた。
「沙羅ちゃん、オレのこと好きでしょ。」
だって、何故だか目が離せなくなるんだもん。