Cold Brew - 4





「これ」

木兎くんが背中から出したのは、大きなカスミソウの花束だった。

「わ、カスミソウいっぱい...!綺麗...もらっていいの?」
「うん。やっぱり名前ちゃんは白い花が似合う」
「あ、りがとう...花瓶の花がそろそろ替え時だから、飾らせてもらうね」
「ん。ねえ、名前ちゃん」


「うん?」
「......好きだよ」


「おれこんなんだから、思ったことすぐ言っちゃうけど。でも本当は彼女になって欲しいとかは、もっとゆっくり、時間を掛けて言うつもりだった。けど...ここで会えなくなっちゃうなら、おれも悠長なこと言ってらんない。ねえ、名前ちゃん。おれは名前ちゃんが好きだよ。名前ちゃんはおれのこと、どう思ってる?」

こんなに真っ直ぐ見つめられたら、もう動けない。全くぶれない眼差しに、緊張すら覚える。逃げられない、し、逃げる気もさらさらない。

「...わたし、も」
「うん」
「.........好き」

木兎くんが、好き。出逢ったばかりだけど。





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