チビ前鬼を膝の上に座らせてみた

※前鬼と契約済み

「よっこいしょ、……ああ、やっぱり童子の時は物凄く軽いのね。猫と大差無いぐらい?」

定位置で寝転んでいた小さな鬼神様を抱き上げると、改めて人間ではないのだと実感する。身長は一メートル程度で、そこら辺を歩く子供と似た様な見た目をしているのだが、体重は比べて随分と軽い。その軽さと言ったら、ひ弱な女子の腕力でも片手で持ち上げられる程だ。

「何をうつけた事を言ってやがる。俺様は最強の鬼神、前鬼様だぞ。畜生なんぞと同列に扱うんじゃねえ!」

「はいはい、拗ねないの」

膝の上に抱え込んでも、最強の鬼神とやらの抵抗は非力で些細なものだ。言葉を用いて意思表示をする辺りが彼の言う畜生とは違う部分だが、どちらにしても喧しい事に大差は無い。これで大きくなったら生意気さが不遜さに変わるのだが、小さな時は何をされても可愛いものだ。

「ガキ扱いもやめろ!下ろせ!」

「良いじゃない、別に減るものじゃなし。機嫌、直してよ」

曰く、金剛と同じ硬さに出来るらしい皮膚も、平生は人間のそれとほとんど変わらない感触をしている。吸い込まれる様にして柔らかな頬に唇を寄せると、そこを基点に薄紅色がサッと拡がってゆく。喚く声も少し治まったから、今の内にその温もりを存分に堪能する事にしようか。

「……、うつけが。普通、こういうのは立場が逆だろうがよ……」

"こういうの"の普通を彼が知っているのは意外だったが、文句を言う口調はこれまでより勢いに欠けている。それでも、首を引き寄せた彼の「だから、俺様を元に戻しやがれ」という要求が如何にも切実で、何とも突拍子が無いものだから、自然と笑みが零れて来るのであった。

(膝の上に座らせてみた診断メーカーより)

2016/05/03 01:03


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