銀時に首を絞められる

※サディスティック坂田

「なあ、こうしたら、痛い?」

にやりと、二つのルビーが頭上で歪に細められ、見るからに愉悦を湛えている。みしみしと骨が軋む様な音が私の内側から、喉元の辺りから発しているのだ。痛いどころの話ではなく、的確な形容詞が有るとすれば、それは"苦しい"だ。どうしても痛みに言い換えるなら、まさしく激痛という二文字が相応しい。

両手は後ろ手に拘束されており、挙げ句に声帯が握り潰されているので、今の私は彼の質問に答える術を持たない。次第に、じたばたと無様にもがく気力も失せている――そんな私の姿を見下ろして、彼はまた満足気に口角を吊り上げた。最初から己の投げた質問が質問として成り立っていない事を、彼が理解しているのだと確信するには十分過ぎる笑みだ。

「ぎん、とき」

何より酸素を恋しがる唇がどうにか絞り出した名前を、今更、忌む事なんて出来やしない。「ああ、やっぱり、」と、奇妙に弾んだ低い声は遠く霞がかかった様に聞こえるけれども。

「お前の苦しむ顔が、一番好きだわ。苦しみながら、俺がこうして悦ぶのを喜んでる、何とも言えねェ顔が」

これまた奇妙に弾んだ胸の鼓動は内部で響くものだから、余りに明瞭な感覚で、無視する事も叶わない。動脈を圧迫する彼の掌にもそれは伝わっているのだろう、二つのルビーは一層の熱を帯びて、ひたすらに此方を射たままだ。ぎしりと、彼の言葉を否定しようとする正常な良識がひび割れる音が、延々と脳の奥を揺さぶっていた。

2016/05/03 01:16


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