lucky SUKEBE


a「獄、もうダメ、抱いて……♡」
「ワ゛ーーーーーーーっっ!!」

 勘違いしないでくれ。俺はただ、用事で寺に寄ったついでに縁側にいた空却に「夏用の制服、似合うな」と声をかけただけだ。当然、下心ゼロで。生意気だがどう足掻いても可愛いツラが、花を連想するほど赤く鮮やかな髪が、白のセーラー制服でどうしようもない清純に彩られているのが、ああ似合うな、と思ったのだ。
 それを、なにを勘違いしたかこの万年発情期のガキは頬を赤らめながらタイを解いて上をするりと脱ぎやがった。秘密の花園より秘められるべしな薄い紫のブラジャーと白い肌があっという間に日中屋外で露わになる。
 焦った俺は咄嗟にライダースを脱いだ。だから勘違いするな。それをかけて少しでも目に痛い白い肌を隠そうとしたのだ。しかし、ライダースを脱いだところで声が響いた。
「空ー却ォーーッ!!どこに隠れたァーー!!」
 おおかたまた雑巾がけやらなんやらをさぼったのだろう。灼空さんの声は徐々に近づいてくる。
 頬を赤らめて下着姿のJK。
 なにやら鼻息荒くライダースを脱いでいる俺。
 うん、ぶっ殺されます。

***

「空却ォっ!!……いない?、?これは、天国くんの服……?」


「ン゛〜〜……」
(黙ってろ!)
 しかし、咄嗟に“子供”の口を手で押さえて倉に隠れたのは果たして正解だったのだろうか(獄はこの後一週間この問いに悩まされる)。
 後ろから獄に抱きかかえられた空却はまるで無抵抗であった。今もそうだ。時折小さく呻く以外は大人しく獄に抱きしめられている。
 足音が倉の周りを歩いている。獄は息をひそめてその気配が去るのを待った。この状況、見つかれば確実に殺される、よくて去勢だ、とこめかみから暑さ以外の汗をだくだくと流す。ぽたぽたと空却の肌にその汗が落ちる度、暗闇の中でぼんやり光を孕むような白い肢体がぴくりと揺れた。
 ふと、息を殺す獄はぎゅっと手を握られた。口を押さえている方の手と反対の手、空却の腹に回している手だ。その柔らかい感触に思わず肩を跳ねさせると、そうこうしている内にその手をそっと胸の膨らみに誘導させられた。
 思わず獄は目を白黒させる。下手に抵抗して暴れられたら困る、と固まっている手はその癖ほぼ反射的に膨らみをむにゅうと揉む。
「ンっ」
(……!?!?)
 小さく漏れた喘ぎ声に獄の脳神経は破壊される。なんだ、なにが起こっている?と。
 口を押えている顔が半分だけ獄へ向けて振り返る。そして挑発的に細められた金目に、かぁっ!と頭に血が上るのが分かった。むわり、と暑い倉の中でいつもより濃い空却の匂いがダイレクトに鼻腔を犯し、獄の脳みそをぐちゃぐちゃにする。
 と、ぺろり、と口を押さえている方の手を舌で舐められる。思わずビクリと力を緩めた隙に、手を胸のもう片方に誘導させられる。あっという間に発達途中の胸を密室で背後から揉む変態のできあがりだありがとうございます、と獄は白目を剥きそうになる。
「あ、ん……♡♡」
 喘ぎ声のおまけつきだ。ところでどれだけ変態臭かろうとこの状況の獄はれっきとした被害者である。少なくとも読者の方々はそれを承知してくださっている。しかし、一点。ある一点がまったく被害者然としていない。空却はその一点にプリーツスカート越しの尻をこすりつけてニヤニヤ♡と八重歯を見せて笑っている。
 尻のワレメに挟まれ、こしこしと擦られ、時折きゅむきゅむと揉まれるそこ。獄はいっそ白目を剥いたままぶっ倒れたかった。賢く上等な脳みそに回される筈の血液までもが不本意の勃起に回されて馬鹿になってしまいたかったしなっているのかもしれなかった。
「空却ォっ!!どこだ!?」
 壁一枚挟んだ向こうには父親がいるというのに、この娘はあろうことか獄の両手に手を重ねてもみもみと膨らみを揉ませている。服越しなら一見慎ましやかに見えるそこは案外ボリュームがあり、形を変えるたびに獄の手からこぼれんばかりだ。もにゅもにゅとした柔らかい感触が股間に直結しており、指の間から白い肉があふれんばかりの度にスーツに包まれた股間は窮屈さを増していく。それに空却がいちいち嬉しそうにする。
 その内空却はダイレクトに体を揺すって獄の獄を刺激しはじめた。ゆさゆさ、と密着した状態で上下に揺れる体は卑猥な運動を連想させられる。目の前のうっすら汗が滲んだうなじに噛みつかなかったのは獄の最も褒められるべきところだ。それ以外は最早仕方ない。
 ビキビキとスーツの中で反り返るそこは、少し出てしまっている。なにがとはいわないが。スーツがまた一着だめになってしまった。流石にスーツに染みるほどは出ていないが、着る度に思い出してしまうからだ。
 下着、更に分厚いスーツの二枚の布に隔てられているもどかしい刺激は毒としかいいようがない。猛毒である。獄はもう、自分から腰を動かして擦り付けてしまっている。空却は腰を動かすよりも獄の手を動かして快楽を拾うことに集中している。二人の卑猥な縦揺れはほとんど獄によるものだ。
 そんな時、急に獄の手から空却の手が離れた。空却の手が離れたというのにしばらく自主的に揉んでしまったことは墓場まで持っていくとして、次に獄の耳がなにやらカチャカチャという音を拾った。すぐに今度はぱさり、という布が地面に落ちる音を拾う。簡単な話である。抱きしめている少女は、スカートを落とし、下着のみの姿になっていた。
(ひと、や……)
 びん!と張ったスーツに包まれたふくらみと、紫のショーツが直に触れ合う。空却は獄を上目遣いで見つめ、ぺろり、と唇を舌で舐めた。
(シちゃ、お……♡♡)

 獄の背景に雷が落ちた。次の瞬間には叫びながら倉を飛び出していた。
「ぅワ゛ーーーーーっっ!!」
 そのまま近くの井戸に直行し、目にもとまらぬ速度で水を汲み頭から被る。それを無言でひたすら繰り返す姿に、ぽかんと灼空は呆気に取られている。
「天国くん……?」
「ちぇ。あとちょっとだったのに」
 下着姿の愛娘が頭の後ろをかきながら倉の入り口に立っている。その姿を認め、灼空は目を細めてため息をついた。
「……あまり天国くんを困らせないように」
「はいはい」
 空却は制服を拾い上げながらカッカッカと笑った。
 とある平和な夏の日の話である。