悪霊騒動三本勝負
「あーセックスしてぇ」
事務所のソファーで横になったまま天井に向けてひとりごつ。
一郎十七歳。絶賛成長期をパワフルに生きる彼の性欲はとどまるところを知らない。オナニーは週七で必ず二回はする。多くて四回。おかずはポー〇ハブにエック〇ビデオ。無修正洋物のいっそグロテスクなくらい露骨なAVをオカズにして、だがそれでも足りない。脳が刺激に慣れてしまった。本当はきんたまが空っぽになってキュウキュウ悲鳴を上げるまで撃ちたいところだが、画面越しのオカズでは最早それも叶わない。セックスでないと。セックスでないと一郎の凶悪なリビドーはもう満たされない。生の女の体を夢想して、妄想じゃ足りないから結局インターネットの海を潜る。
でもあなた、もてるんでしょう――?もてる。が、半グレである。なのに一郎は少々ファンタジーの読み過ぎで純愛志向なところがある。一郎に惹かれて寄ってくる女性は、なんというか、胸元周りがオープンである場合が多い。そうでなくとも膝下五センチの女子であれば今度は距離の縮め方が分からない。そもそも一郎は弟たちが独り立ちするまでは彼女を作らないと誓っている。なら、ワンナイトラブーー純愛主義が邪魔をする。
あまりにもオナニーじゃ物足りないので、一発の質を上げようと工夫してみたこともある。オナニーホールにシチュエーションCD……しかしどれも一度の感動でそれ以降は薄れてしまう。一郎は本来同じものをこすり続けることはあまり向いていないのだ。性欲を持て余した先に人はどうなるのだろう、ちんこをシコることしか考えられなくなるのか、と一郎が己の行き先を憂いていた時である。
「セックスしたいんか?」
仰向けのまま一郎は宙を跳び、空中で軌道を変えて壁に衝突した。
「くく、くくくくくくく空却!?い、今のきいて……」
そう、その声を聞き間違えるわけがなかった。一郎の親友であり仕事上では相棒の波羅夷空却、その人である。部屋の入り口に立っている空却は妙な挙動をした一郎を不思議がるように小首を傾げている。
一方、一郎はパニック状態である。よりによって人並の倫理観が信用できない空却に恥ずかしすぎる独り言をきかれてしまった。気配を消すなとあれほど言っていたのにコイツ!!といくら怨み言を胸内で唱えても、恥ずかしいことを自宅以外で口にした一郎が悪い。
しかし、だ。空却の顔にまるで嘲笑もドン引きも伺えない。そうだ、と一郎は逆さまで壁に張り付いたまま考え直す。坊主のコイツであれば、そもそも性欲を恥ずかしいと考える思考自体備わってないんじゃないか。「腹減ったー」と同義くらいにしか受け止められてないんじゃないか。しかし一郎の一抹の希望はすぐに打ち壊される。空却の顔がじわじわと歪んでいくのだ。その表情を言葉にするなら……苦悶に近い。
「すまねぇ、一郎」
いやすまないはこちらのセリフだ!!と一郎は泣きたくなる。いっそ笑って欲しかった。いっそバカにしてほしかった。謝られるのが一番つらいし、まさか空却にそんな反応をされるなんて思っていなかった……しかし、次に空却の口から続いた言葉は予想だにしないものであった。
「拙僧としたことが、親友が悪霊に憑かれていることにも気付けんかった」
一郎がぽかんとする。
「あ、あくりょう?」
「心配すんな、拙僧が祓ってやる!つっても準備がいるから、来週になるが……水曜空いてるか?空いてるな!テメェん家に昼頃行くからな」
「らいしゅう?すいよう?」
「ああそうだ。セックスしたいんだがや?」
「あ、え、あ、はい」
まさか、と一郎が唾をのむ。この、悟っていて、超常していて、ゆえにどこか天然なところもある相棒は、まさかエロ同人もびっくりのとんでもない勘違いをしてやらかしているんじゃないか――
「それは悪霊の仕業だがや!」
胸を張ってそう言い放った親友に一郎はフリーズする。まじか。まじですか。
一郎はとりあえず姿勢を正す。逆さまだった体勢の天地を正し、正座する。「ところでそのお祓いの方法っていうのは……」と内心でどこか確信を得ながら口にする。
「悪霊っつーのは精子におる。それを抜く!」
うそだろまじかよまじですか。
どうなってんだ空厳寺……いやこの場合は仏教か?仏教にはそんなルールがあったのか?いやそんな筈ない、己は仏教には明るくないがそんなエロ同人用無しの教えがあってたまるか。
しかしだ。空却の顔は冗談を言っているように見えないし、そんな冗談をそもそもいうタイプではない。なら本気である。
だが、だ。一郎は間違いに気づいているならば、さっさと否定していえばよかったのだ。「馬鹿言うな」と。それをしない。それは紛れもなく一郎が悪いし、一郎に原因がある。なぜならば――
「じゃあ、来週の水曜日、テメェん家で!」
人間離れして整った顔をもつ少年を押し倒す夢。ふとした時に見せる隙にときめく胸。夢で見たふしだらな姿。魔が刺して夢想してしまった、オナホールに彼を重ねる歪な妄想。
「…………………はい、よろしくお願いします」
一郎は空却を性的な目で見ている。
***
いよいよ迎えた当日その日。
一郎はあれからオナニーが止まらず、ようやく『オナ禁しないと勿体ないんじゃないか?』と考えが至ったのも三日前だった。それでもムラムラは収まってくれず、ふとした時、それこそ空却の何気ない接触にもちんぽがイライラムラムラと煽られることになり、なにかと前かがみで移動することになった。約束の日の前日などは、落とした小銭を拾うために前かがみでしゃがみこんだ空却の後ろ姿を見下ろして、『明日にはバックでこの背中を突いているかもしれない』と夢想し、しばらくその場にしゃがみこむことになって空却に不審がられたくらいだ。
さて、そんな一郎に対して空却はあまりにもいつも通りであった。もしやすると全て冗談で自分はからかわれているだけなんじゃないかと一郎が思うくらい、いつも通りだった。しかし前にも述べたが空却はそんなくだらない冗談を言うタイプではない。だがそれも当日にならなければ本当のところ分からない。一郎は夢見心地のまま日々を過ごした。痛むちんぽだけが現実味があった。
そして水曜日。昼時。わざわざ左馬刻に頼んで一日どころか明日までオフにしてもらった。アバウトな空却らしく詳しい時間は教えてもらっておらず、それが一郎にとって地獄のような生殺しであった。今朝から勃起が止まらない。スウェットの下で十代の角度でビンビンのちんぽが痛む。ベッドの上であぐらをかいてひたすらその時間がくるのを待っている。
もう少しで空却を抱く。犯す。ひんひん泣かすまで抱いてや……いや意外と騎乗位でオラオラ攻めてくるタイプかもしれない。だとしたら一層燃える。騎乗位を押し倒して種付けプレスでケツ穴ほじくってやる。アナルをまんこにしてやる。どこか澄まして凛とした美形をようやくぐちゃぐちゃにできるのだ。いつも俺を振り回しやがって、今日こそちんぽで分からせてやる、降伏させてやる、泣かせてやる、俺のちんぽ奴隷にしてやる。真剣な面持ちで童貞の妄想はモンモンととどまるところを知らない。
だが、五分、十分、一時間……インターホンは一向にならない。
次第に一郎の腹の底がひんやりとしてくる。やはりからかわれただけだったのか、と。そもそもそんなエロ同人みたいなことが現実にあるわけないのだ。空却は精子を抜くといっていたが、その情報だけでエッチな方向になると考えているのがそもそも間違いだったのかもしれない。というか、セックスしたくなる悪霊を祓うためにセックスするというのがそもそもおかしい。一人で盛り上がってまったくあほらしい……。
ピンポーン!!
ビクッ!!と一郎の肩が跳ねた。チャイムの音はいつもより数倍大きく感じられ、まるで一郎を責め立てるように強烈だった。
呼吸が上がる。無意識に扉を見つめながら、――心臓がうるさい。あの扉を開けてしまったらもう後戻りできないんじゃないか。今ならまだ引き返せるんじゃないか。このまま居留守を使えば、なにも無かったことになるんじゃないか。
しかし一郎はもう立ち上がっていた。スウェットの下でびんびんのちんぽが歩きづらく、若干前かがみのまま一歩ずつ扉に近づいていく。開けるな、という理性と、開けろ、という本能が頭の中で争って、どうにかなってしまいそうだった。興奮のあまり頭がじくじく痛んだ。
扉の前に立つ。震える手でチェーンロックを外す。さあ、あとは内鍵を開けるだけである。しかし手が震えてうまく動かない。
あんなにも勇んでいたのに。空却をちんぽ奴隷にしてやる、と先ほどまであんなに妄想していたのに。いざ現実が目の前になるとこんなにも自分は臆病になってしまうのか。
ふと、一郎の頭に一つの予感が落ちた。そうこうしている内に、空却は一郎がいないと思って帰ってしまうかもしれない――そこからは早かった。反射的に内鍵を開けていた。
カチャン。
「よう一郎!待たせたな、途中で無頼に絡まれて――」
空却が言い終わるよりも先に、その頭を引き寄せて唇を貪っていた。
ぺちゃぺちゃぐちゃぐちゃ。なにかを言いかけて開いていた歯列に舌をつっこみ、絡めて、かきまぜるようにじゅうじゅうと吸う。ぐりぐりと押し付けるように頭の角度を変えながら、唾液を注いで飲ませる。顎をよだれが伝ってぽたぽたと空却の鎖骨に落ちるのを、どこか遠い目で一郎は見ていた。
「いちろぉ……」
一旦唇を離した時、空却の口から漏れた力ない声に一郎はハッとする。慌てて頭を離すと、改めて手の中にある空却の頭の小ささに一郎はぞっとした。あのままキスを続けていたら、この小さな頭を手のひらで磨り潰してしまっていたかもしれない。そう思うほど、今の一郎は己を御しきれていない自覚があった。
実際、口端から涎を垂らして息を荒くする一郎はどの目から見ても理性が足りていないだろう。だが空却は、あくまで鷹揚に一郎の手に手を重ねる。一郎の肩がぴくりと跳ねた。
「大丈夫だ一郎。拙僧が祓ってやるからな」
ああ。
一郎は唇を噛み、何度もコクコクと頷いた。膝を折り、空却の体に腕を回して、自分のものより一回り小さい身体を抱き上げる。後ろ手で内鍵とチェーンロックを閉めて、ベッドに向けて歩いていく。
辿り着いたマットレス直置きのベッドに空却を抱き上げたまま腰を下ろす。その頃には、一郎は大分と落ち着きを取り戻していた。空却が言ったことは冗談じゃなかった。今俺の手の内にいて、そして今俺のベッドにいる。そう考えることでかなり余裕が生まれた。慌てなくても空却は逃げない、俺の傍にいる、と。
空却は一郎を上目遣いで見上げたまま伺うように小首を傾げた。一郎の胸が撃ち抜かれる。
「一郎、体でおかしいところはないか?」
おかしいところ……え、AVですか!?
一郎はぱちぱちとまばたきして唾をごくんと飲み込む。あまりにも見覚えのあるシチュエーションに思わず唇が戦慄いた。え、本当にいいのかこれ!?と。しかし空却の顔は冗談を言っているように見えない。
勇気を出すしかない。一郎はテント状にびんっ!と布を押し上げる己の股間をおそるおそる指さした。
「こ、ここが腫れて苦しい……」
いや本当にいいのかこれ!?一郎は言いながら頬が熱をもつ。
ちらり、と空却が視線をやる。
「勃起が治まんねぇのか……」
結局言語化されてしまった。一郎は頭の天辺から湯気が出そうなほどの羞恥に襲われる。
さて、理性的に見えるかもしれないが、一郎の頭は十分にうだっている。この完勃ち勃起ちんぽをこれから空却がナニしてくれるのだ、ベッドの上で。期待に胸は躍り肋骨を突き破らんばかりである。口で?手で?それとも後ろで?童貞の妄想はめくりめくばかり。
と、空却がおもむろにベッドから下りる。そして一郎の膝の間を割るように入り込んだ。自然と一郎の息が上がり、視線は空却のぷっくりもちもちした唇に集中する。
真剣な顔で一郎の股間を凝視していた空却の手がいきなり一郎の股間に触れる。一郎の全身に電流が走ったような快感が走る。下着とスウェット越しでソフトタッチされただけだというのに、ここまで散々焦らされた体にはあまりにも強烈な刺激すぎた。あの空却が、俺の勃起ちんぽを触っている……!!
「脱がすぞ」
「へ」
一郎がなにか言うより先に、空却がスウェットの腰ゴム部分に手をかけて、一思いに下着ごと下ろした。拍子に、ばちん!!と滾り切ったちんぽが腹を叩く。ぶっくりして張り出したエラに、ぬらぬら濡れる先端に、びきびきに血管が浮き出して太い竿。でぷん、と重く垂れさがるきんたままであっという間に空却の目の前に晒された。
一郎の頭にカッと熱が集まる。共にシャワーを浴びたり銭湯に行ったことはある。しかし、完全臨戦態勢のちんぽを見られるとなれば話は別だ。しかも、これほど勃起しているのは一郎自身でさえちょっと見たことなく、自分で自分のちんぽに引いてしまっていた。いやこれは流石にちょっとグロすぎるだろ、と。最早ちんぽが一つの生き物みたくみえる。
一郎はおそるおそる空却の方を伺い見た。これで引かれていたら……いやそれはそれで興奮するが、それでも多少はショックである。
そんな不安をつゆ知らず、空却は顎に手を添えて神妙な面持ちをしていた。
「これは大変な悪霊だがや」
これ本当にどっきりじゃねぇよな!?実はカメラがしかけられててとかのオチじゃねーよな!?
「今、祓ってやるからな」
「え……」
空却の顔が下りてきて――唇が先端に触れた。
「お゛っっ……!!」
一郎の尻が跳ねる。ちゅ、と先端にキスを落とされただけで、あやうく射精しかけたのだ。いや、射精はかろうじて避けられたが、代わりにぷくぷくと先端に我慢汁が溢れた。しかも白く濁っている。竿を伝い、落ちる前に、首を傾げた空却が舌でそれをすくう。
「あ、あ、あ、」
一郎が天を仰ぐ。くすぐったさと紙一重の快楽に、脳が痺れて口端から涎が垂れる。これが、フェラチオ……!画面越しに数えきれないほどみた、夢にまで見た奉仕。
「ンッ……」
空却は重たくずっしりした竿を手で支え、裏側を根元から先端にかけてずろろ〜〜〜と舌でなぞる。「ひぃっ」と一郎が悲鳴を上げるのに構わず、三度そこを往復した。てのひらをきんたまにかけてもみもみもむと、一郎の体が後ろに倒れた。肘で体を支えながら、犬のようにハッハッと天井に向けて息をしている。
「……どこがいちばんよかった?」
「へぁ!?」
一郎は突然の問いかけに口端から涎を垂らしながら返事をした。え、え、え!?ようやく空却の言った言葉がじわじわとのみこめていく。どこが、いちばん、よかった。
しいて言うならどこもよかった。根元も最高だし、血管を辿られるのもよかったし、きんたまなんて揉まれたら背骨が溶けるかと思ったし。しかし、あえて言うとしたら……
「さ、先っちょ」
「ん」
「ヒッ!?」
言うが早いかぶっくりした先端をぱくりと飲み込まれ、一郎は顎を反らして叫んだ。先っぽがぬるぬるしてあたたかい口内に包まれるだけで天にも昇る心地で、それだけでも大変なのに、更に舌でべろべろとめちゃくちゃに舐められると悲鳴が溢れた。ゴムのような質感の頬の内側に亀頭をぐりゅぐりゅされるのも、上あごのざらざらで子種口をごりごり責められるのもたまらず一郎からその度妙な喘ぎ声がもれた。
「ハッ、ハッ、ハッ、」
その内腰がカクカクと上下しだした。快楽を更に追う動きというより、種付けの本能である。こいつのけつまんこみたいに狭い喉まんこを三日熟成した煮凝りザーメンで余さず汚してやる、という本能である。
一郎が「先っちょ」と答えたからか誠意的に先っちょばかりを愛撫する空却にも焦れる気持ちが高まっていた。小さな口に求めるのは酷かもしれないが、もっと喉まんこをずっぷり犯してしまいたかった。きんたまだってちゅぱちゅぱしてほしい。とにかく刺激が足りない。
「空……却ッ!!」
「ん?……んぶっ!!」
一郎に呼ばれた、と思うと、頭をわし掴まれて思いっきり鼻先を黒々した陰毛に埋められた。空却が目を白黒させているのに構わず、一郎は掴んだ頭を激しく上下させる。頭を上にあげた時は腰を引き、引き下ろすと同時に腰をつき上げる。がぽっがぽっと狭い喉奥にぶっくり膨れた亀頭がはまっては外れる音が何度も部屋に響いた。
「空却っ、きもちいいっ」
空却のくぐもった声と苦しそうな鼻息が益々一郎の興奮を煽る。一郎は先ほど空却の頭を“磨り潰してしまうかもしれない”と危惧したことも忘れ、空却の顔面に遠慮なく腰を叩きつける。頬の内側も上あごも魅力的だったが、今は狭い喉奥に種付けすることしか頭になかった。ぎゅうぎゅうと竿を絞り上げる喉まんこのぬるぬるした内壁を、子種でにちゃにちゃにコーティングしてやることしか頭にない。
「あ、出るっ」
射精のきっかけはいきなりきた。びゅう、びゅるる〜〜〜……♡びゅう……♡♡と三日溜め込んで黄ばんだ煮凝りザーメンが空却の喉奥で一気に放出される。ピンク色の肉壁を黄ばんだ白でびゅくびゅくと汚す。子種口がひくつきながら射精する度に、口端から涎を垂らす一郎が天を仰いでびくんびくんと体を震わせた。
間違いなく人生で一番気持ちのいい射精だった……一郎が涎を拭うことも忘れ、射精の余韻で虚ろな瞳で空却を見下ろす。こいつの口は極上だ、もう一度味わいたい、と本能的に思う。
「んぶっ……ん〜〜……」
もっと、もっと種付けしたい。その本能に従いいつまでも空却の頭を腰に引き寄せてぐりぐりと股間をすりつけていたが、空却がその内ももをぽんぽんと叩いたことでようやく一郎は理性を取り戻す。仕方なくその頭を解放する。
喉奥から胃に直接ザーメンをまるっと注がれた空却が、口を「お」の形に開いたまま「けふっ」と小さなかわいらしいげっぷをする。一郎の胸が萌えで痛む。一方、激しいイラマチオをされた空却は額に汗を滲ませたまま、射精したのに未だ力を保っている一郎のちんぽを見下ろして眉間に皺を寄せる。
「まだ治まんねぇか……こいつは強敵だ」
それは俺のちんぽのことなのか。それとも俺に憑いている悪霊のことなのか。どちらもか。
そんな一郎の考えを他所に、空却は「あの手段を使うしかねぇか」と、あまりにも閨でする表情とは程遠い、なにか覚悟を決めた顔で呟いた。
「あの手段?」
「一郎、童貞か?」
突然的を射られた一郎が噴き出す。え、この場合は偽ったほうがいいのだろうか?しかしあのフェラチオでの興奮っぷりを見せといて童貞じゃないは流石に無理があるか。じゃあ素直になるのがいいのだろうか。
モンモンと思索をめぐらす一郎に、空却がまた小首を傾げる。そのかわいらしい仕草に一郎の口は気付けば開いていた。
「童貞です」
「そうか……」
空却がまた意味深気に顎に手を添える。今更だがその白い頬に黒いチリチリ毛がついていることに気付き、話に集中できないので一郎が手で取る。
「いいか一郎。今から行う術は、懸想の念があっちゃいけねぇ」
空却の口から続いた言葉に、一郎がぽかんとする。
「童貞は特に注意だからな……ま、一郎なら大丈夫か!」
「まってくれくーこー。その術ってのは具体的になにするんだ……?」
空却はベッドに上がると、後転の途中で止まったように、ころん、と仰向けにひっくり返る。そして己の尻――さらにその中央を服の上から指で指さす。
「ここにちんぽを入れる」
びきっ。と一郎のこめかみに血管が浮かぶ。
「懸想の念、持っちまうとどうなるんだ……?」
「術者と結婚しなきゃなんねぇ。そういう決まり!」
「へぇ……」
一郎の手が勢いよく空却の頭の両隣につかれる。いきなり一郎の腕で閉じこめられた空却はぎょっとして彼を見上げ、そしてその据わった瞳を見て更に驚いた様子で目を丸くする。
「一郎……?目、血走っとるぞ……」
ずり、と服の上からケツの穴になにかが擦り付けられた。なにか硬くて熱い、棒のような……視線をやって驚いた。一郎のギンギンに勃起したちんぽである。先ほどの射精からそう時間が経っていない筈なのに、もう完勃ちしている。
こちらに狙いを定めた子種口からはぬらぬらと我慢汁が溢れていて、空却は思わず悲鳴を呑み込む。犯す、犯してやる、という気迫が鳥肌が立つくらい猛烈に襲ってくる。
しかしこの親友を救えるのは己だけなのだ、と空却は自分を奮い立たせる。あえて口にすることでもないので黙っているが、空却はバージンである。だが覚悟はできている。ごくり、と唾を飲み込む。
「い、一郎。まずは練習、な?」
うつ伏せになった空却を腕で閉じ込め、服の上からアナルに向けてちんぽを擦り付ける。
「そうそう、上手……」
空却がはいているいつものカシュカシュした生地の短パンがちんぽに与える刺激は気持ちがよく、自然と一郎の息が上がっていく。腰の速度もだ。カクカクカク、と腰を前後させて背後で快楽を貪る一郎に、空却は内心ドキドキと緊張していた。
大量の我慢汁が布を汚していくため音も次第に変わっていき、ぬちょぬちょぬちょ、という音が混じり始めた。同時に、一郎のハーッハーッという荒い息も上がっていく。空却は首筋に当たる一郎の熱い息に鳥肌を立てる。上手、とこちらが褒めると同時にちんぽが一層ぶくりと膨れ上がったのも短パンと下着越しに感じていた。
もうそろそろ、種付けの練習もいい頃だろう。しかし空却はここにきてヒヨっていた。他でもない親友を救うためだというのに、その親友の様子がさっきからおかしい。一体自分はどうなってしまうのか、どうされてしまうのか。本当にこのままことを進めていいのか。
と、その時である。さっきからいつ痺れを切らすのか内心恐ろしかった一郎が、いよいよ我慢の限界がきたらしい。空却の短パンをつかみ、無言で下着ごと勢いよく引き下ろした。
「ヒッ」
ぷりん、とシミ一つない白くまろい尻が一郎の眼下で晒される。まさに桃とたとえるのに相応しい同年代の尻に、一郎がフス―と息を荒くする。
空却は思わず制止しそうになって言葉を呑み込んだ。今の一郎はこんなにも息を荒くして苦しそうなのに、ストップをかけるなんてかわいそうだ、と思ったのだ。尻の肉を両側に広げられて、アナルにぶちゅ、となにか硬くて濡れたものが押し付けられる。空却の肩が跳ねる。たしかに“一郎の悪霊を祓う”と宣言してから今日までの間で丹念に慣らしてあるが、それでもまさかあの一郎がいきなりとは……。
「ッ、っう……」
肉の輪を潰し、押し入り、ちんぽの先端がずにゅうぅと挿入される。カリがごりっと前立腺を抉り快楽を拾うが、それよりも痛みが大きい。空却は全身にびっしょり脂汗を流しながら必死に尻の違和感に耐えていた。一郎はなかなかちんぽが進められないとみると、軽く腰を引いて、また突き出した。ちんぽが先ほどよりも奥に進む。
「ぐっ……うぅぅ〜〜……」
そうして少しひいては押進む、を繰り返している内に、空却の尻にばちんときんたまがぶつかった。奥まで入ったのだ。空却はハァ〜〜と息を吐いて全身を脱力させた。これで一郎を救える……!と、そう自分を励ませば、痛みはさきほどより和らいだ気がする。
実際、痛みは和らいでいた。一郎のデカマラの太芯は空却の前立腺をずっとぎゅうぎゅうに圧し潰しており、快楽を与え続けている。空却はぴくぴくと勝手に震える己の体を不思議に思いつつ、ほうほうと溺れた魚のように息をしてなんとか体のコントロールを取り戻そうとしていた。
「いちろぉ……せっそーのなか、きもちぃか?だせそう、か……?」
説明を失念していたが、この術は中で精液を出してようやく成るのだ。空却は身体をひねって一郎を見上げ、なんとかそう声を絞り出した。すると一郎がピシっ!!と固まった。空却が不思議そうにするのに構わず、一郎の両手が空却の細い腰をがしっと掴んだ。
「へ、え?」
ずろろろ〜〜〜と腹の臓物全て持っていく勢いで一郎の腰が引かれていく。
「好きだ、空却」
「へぁ?」
ばちん!!ときんたまが尻を殴った感触だけ現実味があった。空却の直腸は蛇腹のようになっていて、そのぬめぬめで一郎のちんぽを下から上へ絞り上げるのだ。このままなにもしないでいては持っていかれる――そう焦った一郎は、亀頭を残してちんぽを引き抜き、一気に叩きつけた。
「カハッ」
「っ……!」
そのままつま先立ちのガニ股になり、空却の上で腰を何度も何度もたたきおろす。きっつきつの入り口の輪でちんぽを扱かれるのも、中のむにゅむにゅとろとろの肉をちんぽの先で剃削するのも堪らない。直腸でちんぽを扱くのがこんなに気持ちいだなんて知らなかった。あれだけ夢想したまんこがこれより気持ちいはずがない、いやこんなにもちんぽに媚びてくるケツは最早尻ではない、まんこだ。一郎のこめかみから汗が一筋垂れる。
「やめ、やめっ、ぬいて、……ぬけっ、!って!」
「……抜かない」
己の下で必死に暴れるもすぐにくずれ落ちていく空却を見下ろしながら、ああ俺は空却が好きだったのだ、と一郎は納得した。たしかに惹かれるところはあった。暴虐無人なところも愛嬌だし、顔だってかわいい。今みたいに体を張ってくれる情深さもある。結局彼はそれを裏切った形になるのだが。
「ぬけ、ぬいて、ぬけってぇ!」
ばちゅんばちゅんばちゅん!!ぷりゅぷりゅの直腸はちんぽに摩擦されすぎて糸を引きながらちんぽを扱いている。鼓動と同じ速度でちんぽをぎゅっぎゅと歓待しながら、入り口のキツイ輪を始めとしてちんぽを絞り上げるように扱く。口ではいやいや言っているが、まんこのちんぽ媚びは一級品である。
「ぬけ、って!こんまま、らとぉ……けっこん、しにゃあかんく、なりゅっ!」
一郎は腰の速度を益々速める。空却が事前に仕込んでいたローションと一郎の我慢汁が泡立って、結合部からぷぷ……とこぼれる。
息も絶え絶えに言葉を紡いだ空却の言葉を耳にしながら、一郎はハッと笑い飛ばした。
「結婚してやるよ!俺のお嫁さんになれよ、空却!家で一生可愛がってやる、一生セックスしてやるよ!!」
腰を持ち上げてバックの体位をとり、ばちゅばちゅばちゅ、と可動域の広がった腰で思う存分叩きつける。ふと思い立って空却の前に腕を伸ばすと、べしゃべしゃでしなしなのちんぽが手に触れた。なんだ、お前もイキまくってるじゃないか。
「いや、いやっ、いや、いやあぁっ……」
うつ伏せのまま空却がやだやだと首を振る。一郎の頭にかぁッと熱が上がった。バチン!と怒りのままに空却の尻をスパンキングする。震えて赤みが増した尻を掴み、シーツについている膝を力んで、ばちゅばちゅばちゅばちゅ!!と無茶苦茶に乱打する。
その内むずむずと射精感がこみ上げてきた。綺麗な顔を汚してやりたい、このまっしろなけつをザーメンまみれにしてやりたい。まだまだ二発目、汚いザーメンは残っている。
そもそもなぜ空却は結婚を嫌がるのだ、と腰の動きを止めないまま一郎が舌打ちする。俺たちはもう結婚しているようなものじゃないか、夫婦なようなものじゃないか、それを今更なにを嫌がっているんだろう。というか空却はそもそも俺を信頼していなかったんじゃないか、よく考えれば心当たりがある、約束の時間にはいつも遅れてくる、俺を軽んじやがって、俺を下に見やがって、分からせてやる、絶対結婚してやる、――童貞の被害妄想は止まることを知らない。
「あ、イくっ」
「ヒッ!?」
一郎は勢いよくちんぽをあたたかいけつまんこから引き抜き、空却の体をひっくり返して顔に構えた。ごしごしごし、とちんぽを男臭く扱き、黄ばんだザーメンを空却の顔にびゅるびゅるとかける。目を強く瞑ってそれを耐えていた空却は、ほっこりこってりしたザーメンに眉を顰めながらも、ホッと息をついた。顔に出された、中じゃない、よかっ――
「次は中に出すからな」
「えっ」
膝裏を抱えられ、持ち上げられたと思った次の瞬間、空却の全身に衝撃が襲った。ちんぽを根元まで挿入されたのだ。しかも種付けプレスで。
一郎の勃起ちんぽは奥の奥、空却の未踏の結腸を突き刺した。空却の瞳がぐるんと瞼の裏に隠れる。
「おっっ――……♡♡」
「なんだここ?きもちいい……」
よく分からないが、ちんぽの先っちょをちゅうちゅうと丹念に吸ってくれる場所がある。一郎は快楽を愚直に追ってそこをしつこくとんとん♡と突く。突けば突くほどやわやわの肉は綻んでいき、ちんぽの子種口をちゅうちゅう♡とより優しく吸ってくれる。一郎は浅いピストンで結腸をほじくりまくった。
「お゛♡お゛、おほ゛♡ほぉぉぉおお……♡♡」
いよいよ、がぽっ!!と結腸にカリがはまった。きゅううううん♡♡とカリから上の先端を激しく吸われ、一郎は「おおおお!?」といっそ困惑に近い声を漏らす。一方、空却は鼻水を噴いてしょろろ……と前から力なく失禁していた。びっしょり重くなった服の感触とアンモニア臭に一郎は空却の失禁に気付き、ちんぽを結腸にはめたまま益々勃起させた。
「空却っ!かわいいっ!」
漲るちんぽでどちゅどちゅどちゅ、と最奥を容赦なく突く。とにかくこの奥のところが気持ちいい、とそこばかりを一郎は浅いピストンで狙った。がっぽりと亀頭を結腸にハメて揺さぶりまくれば、根元のところは前立腺のこりこりが刺激してくれる。一郎は初めてのセックスの快楽に夢中だった。童貞には空却のけつまんこは刺激が強すぎた。もうセックスのことしか考えられない、空却を慮る余裕なんてない。空却の肉壁も一郎のちんぽに媚びていた。蛇腹ぷにゅぷにゅ肉壁でちんぽを絞り、射精を催促する。奥の一番敏感なところにザーメンをぶっかけてほしいという雌本能だ。空却はヴァージンだったが、一郎の雄ピストンを前に屈服せざるをえなかった。
「お゛、ほぉ゛ぉ゛〜〜……♡♡ほ゛ぉ゛♡♡」
空却は下品に喘ぎながらも頭のどこかでこのセックスをやめさせなければと気付いていた。必死に力の入らない手で一郎の髪の毛や着たままの上の服を引っ張ったりした。しかし猛烈なピストンを繰り返す一郎はそれごと振り落すように益々勢いを強くするばかりである。パンパンパン!!と水を打つような音が絶え間ない。
まずい、このままだと一郎と結婚しなければいけなくなる、一郎と添い遂げなくてはいけなくなる、一郎と――……
「結婚しような、結婚するぞ、結婚だ……」
――……いいんじゃないか?空却の理性が揺らいだ瞬間である。
このまま快楽に身をゆだねてしまって、いいんじゃないか?あまりにも強烈な結腸責めに、唯一無二の、現代の至宝ともいえる高潔な空却の魂が揺らいだ。快楽に傾いた。一郎が言っていた、このまま一生奥に閉じ込められて一生セックスされる未来を一瞬でも夢見てしまった。
空却の精神はそこから一気に瓦解した。全身に電流が走ったような錯覚、そして今までとは比べ物にならないくらいの快楽の濁流。腹の中にあるちんぽが愛しい。己の上で眉間に皺を寄せて必死に腰を振る男が愛おしい。
「いち、ろぉ……♡♡」
「ん?!」
「せっそぉ、せっそぉ……♡♡」
――いや、だめだ!!空却はとっくにとろとろに蕩けた顔で唇をかみしめて、一郎の背中を足でドンっ!と蹴った。咎めるように一郎がばちゅん!!と長いストロークで一気に結腸を突き刺す。
「ほっ゛ーー♡♡」
だが空却は屈しない。だめだだめだだめだ、全ては一郎に取りついた悪霊が悪いんだ、悪霊のせいなんだ。色欲に狂わされる悪霊に取りつかれる人間を空却は数多に見てきた。実のところ、この方法は最終手段である。しかし空却は一郎ならいいと思ったのだ。一郎なら油断せず全力で払ってやりたいと思ったのだ。
「もう、出るっ、出る出る出る出る出る!!」
結腸の吸い付きに抗えず、一郎は亀頭をはめて空却の奥の奥でびゅう、びゅううう〜〜……♡♡と重たく射精した。
「ほぉっ゛♡でてりゅ、でてりゅぅ……♡♡」
敏感な結腸でのナマ種付けに空却は口端から涎を垂らしながら本気絶頂した。へにゃりと力ないちんぽからぴゅるぴゅると力なく潮を垂れ流すだけだったが、ちんぽを絞り上げる胎動で一郎はそれを察知した。
射精直後のちんぽを残滓も差し出せ♡というようにぎゅうぎゅう絞られ、一郎はハッハッと荒い息を繰り返す唇の端から涎を垂らす。射精直後のサポートも完璧なしりまんこなんて末恐ろしい。ぼたぼた、と垂れた涎が目をきつく瞑って本気イキの余韻に耐える空却の顔に落ちる。
ぶるぶると痙攣していた一郎の腰が動きを止め、ぬぽっと粘液でコーティングされたちんぽを引き抜く。空却の体がびくんを跳ねたが、一郎はあまり構ってやれない。射精の気持ち良さで頭がいっぱいなだけではない。
「ちょ、トイレ……」
そう、ザーメンを三発出して尿意が急に襲ってきたのだ。一郎はベッドの上で虚ろな目をしている空却を一人置いて、早足でトイレに駆け込んだ。
じょろろろ……と立つ体勢で尿を排出しながら、「空却のケツを便所にしてもよかった」と一郎はぼんやり考えた。腹の中身が全て抜けていくような気持のいい排尿感にぼーっとしながら、いつもの癖でずぼんを引き上げようとして、トイレに駆け込む際に足で脱ぎ去ったことを思い出す。
トイレから戻ってきた一郎の視界に信じられないものが映った。玄関に座り込んで、部屋から逃げだそうとチェーンロックと格闘している空却の姿である。
「――ッ!!」
一郎の頭にカッ!と熱が上がる。凄まじい、腸が煮えくり返るような怒りである。ずんずんと空却の元に近づき、俵を抱えるようにその体を軽々抱き上げてベッドに連れ戻す。
ぽいっ、と自分より一回り軽い身体をベッドに放り投げると、空却がたしかに怯えた目を見せて一郎から逃げるように後ずさった。
途端、一郎の怒りが霧散していく。かわいい、空却。あの空却が、俺が怖いんだ。あの、空却が……。
一郎は角度こそついていないがでっぷりその身を太らせているちんぽを支え、ずいっと空却の口元に付きだした。
「ほら、お嫁さん。旦那さんちんぽ綺麗にして」
散々精液に塗れ、つい先ほど尿を排出したちんぽはアンモニア臭とつんとする刺激臭を放っている。
空却がぷいっと顔を逸らす。
それを見た一郎は、無言のまま手のひらで空却の鼻を覆った。目を見開いた空却が抵抗するが、それも虚しくやがて酸素が足りなくなって大きく口を開いてしまった。一郎がすかさずちんぽをそこにねじ込む。
「んん――っ!!」
そのまま膝を進め、空却の顔を跨ぐようにしてちんぽを空却の口内で扱き上げる。容赦なく注挿されるちんぽは舌も喉もめちゃくちゃに巻き込み、喉を容赦なくがつがつ突いた。ぬとぬとの口内でちんぽを扱いていると、あっという間にちんぽは力を取り戻しぐんと喉奥を突きあげる。三発出したきんたまもぱんぱんに張って空却の顔をばちんばちんと殴っている。
ちゅ、ぽん。と空却の唇の輪からちんぽを引き出し、ギンギンに完勃ちしたちんぽを軽く手で扱きながら一郎は次の体位について考えていた。バッグも種付けプレスもした。どちらもよかった。バックは征服感が強くて腰が動かしやすかったし、種付けプレスは密着感で興奮した。
そうだ、騎乗位にしよう。一郎は空却の腕を引いて仰向けに寝転がる。体の上にヒックヒクと泣きじゃくっている空却の体を乗せて、ぐぱぁ♡と手で尻を割り開いた。
流石に三発も出せばいくら童貞といえど多少は余裕ができてきていた。ずりずり……とちんぽをけつまんこの入り口に擦り付けて空却の反応を観察する。すっかり涙で目を腫らした空却は、いつ挿入されるか分からないちんぽに怯え、ちんぽがけつまんこの入り口を往復する度にヒッヒッと喉を鳴らしている。
十分に焦らしを楽しんだ後、一郎は腰を突き上げてずぶずぶとちんぽを挿入した。きんたまがばちん!と尻に当たると奥まで入った合図である。すっかりこ慣れた調子で、空却の尻を揉みながらピストンする。
一郎はふと思いついて、結腸ではなく浅めに空却のこりこりした前立腺に狙いを定めた。ちんぽを小刻みに動かしてこりこりこり!とそこばかり責める。特に裏筋に当てるようにして動かすと気持ち良かったので、裏筋に押し当てて重点的に責めた。
「ヒッ、ヒッ、ヒッ、♡♡」
空却の目が間近でチカチカと点滅する。腹に当たるちんぽがぷしゃぷしゃ、と潮を噴いている感触に、一郎は満足した。
「しょこ、ばっかりゃめっ♡りゃめっ♡」
「じゃあ奥?」
「おくも、りゃめっ!♡♡ヒッ!!♡♡」
ずんっ!!とちんぽを奥に突き刺す。この体位は楽に奥まで突き刺せるのがよかった。
だめ、やめて、の声を無視してちんぽを直腸で扱き上げる。やはり結腸が気持ちいい。少しの間放っておいた結腸はまたちんぽを拒絶して、閉じてしまった。一郎はまたあの亀頭より上をちゅうちゅう吸われる快楽を欲し、とちゅとちゅとちゅ♡とちんぽの先っちょでそこばかりを突く。
「お゛♡お゛♡お゛♡お゛♡」
突くごとに空却の口から押し出されたように喘ぎ声が漏れる。一郎は脚を開き、ぐっと力んで何度も何度も猛烈に突き上げた。
すると、突き上げられる動きに合わせて上下に揺れるだけだった空却のちんぽが、ぷしゃああ、と潮を噴きだした。いや潮かも分からない。とにかく無色透明のなにか液体だ。本気イキしたのだ、と一郎は悟る。まだ結腸をノックしている段階なのに勝手にいった“嫁”を咎めるように空却のまろい尻を手で叩く。
「なに旦那様おいてイッてん、だ!!」
「ま、って、いまイッ、て――ほあ゛ッ゛ッ゛♡♡」
どちゅ、どちゅ!!と腰を思いっきり突き上げる。無理矢理開かれた結腸にちんぽの先端をはめて、揺さぶる。狭い結腸は亀頭をちゅう〜〜♡♡ちゅう♡♡と吸い上げ、一郎はその気持ち良さにぐすっと鼻水を啜った。本気イキの最中に結腸に亀頭をぶちこまれた空却は、へたりと一郎の体の上でぴくぴく震えながらしょろしょろと何度目かの失禁をしていた。
精子をねだって子種口をちゅうちゅう吸い上げられると、その期待に応えてやるしかないと雄の本能がやる気を出す。出す、出る、出してやる。一郎がピストンすると先に出したザーメンがかきだされて結合部で白い泡になっている。新しい新鮮な精子でこの結腸を満たしてやる、孕ませてやる。一郎のちんぽが射精に向けて一層ぶりん、と漲り、結腸の中を勃起の動きでぐん、と突き上げる。
「っ、っあ、出るっ……!!」
びゅう、びゅるる〜〜〜♡♡びゅう……♡♡
三発目と思えないくらいこってりした精子が空却の結腸で放たれる。狭い結腸の中でびゅくびゅくと精子をかけられた空却はぐるん、と瞼の裏に瞳を回して潮かなにかも分からない液体を噴きながら絶頂した。腹に触れるちんぽがぴゅるぴゅる……と細く短い液体を噴いているので一郎もその絶頂を察した。
興奮する。種付けでイッてしまうなんて正真正銘の雌ではないか、と。俺のお嫁さんになる準備万端じゃないか。絶対幸せにしてやる、絶対結婚してやる……
と、
サァーと血の気が引いた。
一郎は己の上で白目を剥いてぴくぴくと痙攣している空却を素早く抱き起し、ベッドに横にさせるとその傍で正座した。
え、え、え、??なにこれ、やばくないか、なにやっちゃってんだ俺。えっとえっと、と一郎は己がやらかしたことを指折り数える。
同意ギリギリのセックス、顔射、ゴム無し種付け、お掃除フェラ、……やばい。
青い顔をしてあわあわする一郎は、ハッとして顔を上げた。そうだ、空却。ちんぽからよく分からない液体を噴いていたが無事なのか、と慌ててその顔を覗き込む。
「空却っ……!」
白目を剥いていた空却の瞳がその呼びかけに反応した。虚ろな瞳で一郎を見上げ、ぱちりとまばたきする。
「いちろぉ……?」
「よ、よかった……!」
いやよくはない。一郎が瞳を右往左往させてなんと言い訳しようかいやどうやって詫びようかと悩んでいると、空却が――にへら、と力なく笑った。
「よか、った……祓えたん、だな」
その言葉に一郎はぽかんとする。だがすぐに一つの可能性に思い当たり、口元を手で覆った。
まさか、まさか俺、
本当に悪霊に憑かれていた!?
***
あのセックス悪霊騒動から四日が経った。
あの後一郎は全裸のまま空却に土下座をして詫びたが、空却はその頭を上げさせて「おみゃーが無事でよかった」と満身創痍の体で微笑んだ。ちょろい一郎はコロッと惚れ直した。
そうなると、あの日の過ちも、無かったことにしたいのか無かったことにしたくないのかもよく分からなくなった。一郎からあの凶悪なリビドーはいなくなったが、空却への恋慕は消えなかった。性欲と懸想を切り離せていることにひっそり安堵しつつ、そう安直によかったよかったともなれない。
『懸想の念をもつと、結婚しないといけない』
例の言葉。あの言葉がいつまでも一郎の中で引っかかっていた。
あの時の一郎は暴走していたのでむしろ囲うチャンスと解釈してがっついたが、冷静になった今頭の中を埋めるのは『責任』という二文字だ。重荷にはなっていない。だがとるべきものはとらなければいけない、男なら。一郎はそう考えていた。空却に惚れている一郎からしたらむしろ“ラッキー!”となるところだが、常識的に考えてそれはあまりにも誠意に欠けすぎる。一郎は覚悟を決めていた。
で、だ。
空却が一向に事務所に姿を見せない。これには一郎も焦っていた。あの日はたしかに朗らかな空気で解散したはずだが、やはり内心では軽蔑されていたのだろうか?あり得る、ありえすぎる。だってお掃除フェラの時なんて結構ひどいことを言って結構ひどいことをした記憶がある。内心で「童貞イキり下半身野郎」と罵られていてもなんら不思議ではない。一郎は事務所のソファに腰を下ろしゲンドウポーズで一人モンモンと焦っていた。電話にもSNSにも返事がない。もしかしなくても無視されている。
「最近空却見んなぁ、一郎なんか知らんか?」
知っている。知り過ぎている。だがこの空却を可愛がっている簓と左馬刻にことのあらましを話したらどんな目に遭うか想像するだけで恐ろし……いやそれが誠意ってやつなのか!?一発殴られて一回東京湾に沈んどくか、俺!?
黙り込んでしまった一郎を不思議に思いながら、二人は彼を置いてやがて食事をしに出て行った。
一郎は一人残された事務所で顔色をぐるぐる変化させながら、いよいよ二人に本当のことを話してぶん殴られるしかないのか……と覚悟を決めかけた時である。
がちゃ、と一郎の視界の外で扉が開く音がした。
「一郎、」
一郎の肩が思いっきり跳ねる。しかしそちらを見ることができなかった。膝の上に置いた両手をぎゅっと握りしめ、汗をだくだく流しながら床を睨みつける。何か言え、俺!気の利いたことを言え!冗談でも何でもいい!しかし言葉は詰まってなにも出てこない。
その内気配が近づいてきた。一郎の隣に腰を下ろす。
「あのな、一郎」
「お、おう……」
見れない。見れる筈がない。
「拙僧が僧侶になるまで、待っていてくれねぇか」
……え?
一郎が弾かれたように隣を見た。頬を赤らめた空却が斜め下を見ている。眉間に皺を寄せて「なにかをは言わなくても分かるよな?」と話すしとやかな姿はとても普段の空却からは想像できない。だが目の前にいるのは空却なのだ。己がこうしてモンモンと悩んでいる間にも、覚悟を決めてくれていたのだ。
一郎は思わず空却を抱きしめそうになった。ぐっとこらえて、膝に置いていた手を空却の手に重ねた。空却の体がぴくりと僅かに跳ねて、おそるおそる一郎と視線を合わせる。
今度はキスをしそうになった。唇を噛んで耐える。重ねた手は汗が滲んでいてかっこわるいかもしれないが、それでも空却との視線を逸らせなかったし、手を離すこともできなかった。
「待ってる。いつまでも」
空却が僅かに目を見開く。そして、花が綻ぶような笑みを浮かべた。
「……うん」
――Naughty Busters解散まで、あと二日。