中途覚醒独歩 - hpmi



眠れないっていうのは何よりもの絶望だ。真っ暗闇の中でふと目が覚めて、枕元の携帯で時間を確認すると四時だった。布団に入ってまだ三時間と少し。再び目を閉じて大人しくしていてもどんどん頭が冴えてくるばかりで眠れる気配はなく、このまま出社時間になればまた二十時間は起きていなくてはいけないなんて考えただけでしんどい。
休まなくては、と強迫観念を感じること自体、質の良い休息になるはずがないと思う。でも休まなくちゃ働けない。働きたくない。起きたあとのことなんて考えなくてよければ、きっとぐっすり眠れるのに。

「んん、どっぽぉ…?」
「ごめん、起こした?」

ぐしゃぐしゃと髪をかきむしっていると、隣の彼女が目を覚ましたらしかった。うるさくしてしまっていたか。天井をにらみ据えていたらすっかり暗さに目が慣れて、彼女の顔もはっきりと見えた。彼女は瞼を閉じたまま、手探りで俺の腕に触れると背中に手を回してきた。

「眠れなくなっちゃったの?」
「……うん」
「たいじょぶだよー…」

素肌が触れ合って、体温が混ざる。彼女のシャンプーの匂いが鼻腔をくすぐる。ぽん、ぽん、と手のひらで背中を優しくたたかれて、気持ちの波が穏やかになった。いくらもしないうちに彼女の方がまた微睡みに落ちていったが、その平和な寝顔を見ているうちに眠気が戻ってきて、ああ、と思ったときには意識を手放していた。