リトルヒーローとショート - mha



「おい、メモリーカードがなくなってるぞ!赤外線は引っ掛かってなかったはずなのに…」
「身体を縮められるヒーローがいるらしい。まだこの部屋にいるかもしれねえ、探せ!」

乱暴な足音がいくつも行き交い、見付けたら踏み潰してやれ、なんて物騒な台詞も降ってきた。テーブルの下の僅かな隙間に潜り込んでいた私はバクバクと嫌な鼓動を打つ心臓を押さえ付ける。現場に出る機会が増えてくるのに比例して名前が知られるようになってしまい、あくまで隠密の役目を担いたくてもそうもいかなくなってきたのが最近のジレンマだ。それでも、直接対峙できる力がないからって自分だけが危険な目に遭いたくないとは言えない。私だって他のメンバーと同等のヒーローなのだ。恐怖を振り払って、特製の無線に囁きかけた。

「敵が入ってきて身動きとれません。応援、お願いします…!」

テーブルの前に大木のような黒い足が立ち、息を止めた。絶体絶命か、目を閉じてしまいたくなったそのとき、辺りを冷気が走った。

「な、うわっ、この氷はっ……」
「動くな。つっても、もうどいつも動けねえだろうが」

ショートが部屋に乗り込んできた。一瞬にして部屋の壁が一面氷浸けになって、天井から降り注ぐように伸びた氷が敵を拘束していた。部屋の中央まで来たショートは周りを見渡し「ミニマム、どこだ」と呼びかけてくれた。テーブルの下からふらふらと這い出して、いつものように大声でアピールしなければと思っても蚊の鳴くような声しか出なかった。

「ここ……」

それでもショートはすぐに気が付いてくれて、膝を折って左手を差しのべてくれた。

「よかった、氷浸けにはなってなかったな。無事か」
「はい、メモリーカードも確保してます」

ショートのあたたかい手のひらによじ登って、目線を合わせてもらう。ショートは私の顔をじっと見つめて、それからすっかり定位置になったストラップ缶に身体を入れてくれた。

「怖い思いさせたな」
「いえ、…大丈夫です。来てくれてありがとう」
「……すぐ抱きしめてやりてえが、戻ったらにする」

指でそっと頭を撫でられて、まだ現場だというのに気が緩んでしまう。でも、せめてここを出るときまではこの中で安心していたい。