山田家の末娘 - hpmi



「ねぇ一兄…今日一緒に寝ちゃダメ?」

夏の風物詩、心霊番組を見終わって時計はそろそろ日付が変わる頃。居間から解散を促す一兄にそう聞くと、二郎と三郎がお化けよりも怖い顔で振り返った。

「てんめぇ抜け駆けする気かオイ」
「可愛い子ぶっても可愛くないんだよ、一兄に色目を使わないでくれる?」
「だって本気で怖いんだもん……!さっきのお化けが出てきた家のつくりうちとほとんど一緒だったじゃん!」
「おーら、夜遅いんだからあんま騒ぐなおまえら。しょうがねえ、今日だけだぞ」

ぽんと頭に手を置かれて、そんじゃ布団運ぶか、とすんなり私の部屋に向かおうとする一兄の前に二郎と三郎が回り込んできた。押し合い圧し合いしつつ、さっきから息がぴったりだ。

「いっ一兄、実は僕も一人で寝るのが怖くなってしまって……ご一緒してもいいですか?」
「お、俺も!だめかなぁ兄ちゃん」
「なんだおまえらまで。俺の部屋にそんなに布団並べられねぇだろ」
「私、一兄と同じ布団でいい」
「「だめに決まってんだろ!!」」
「あちぃしなぁ」
「むー……じゃあ二人のどっちかでもいいから一緒に寝てよ、お兄ちゃん」

とたんに動きを止めた二人は、満更でもなさそうな顔をする。

「ま、まあ別に……俺はいいけど」
「二郎の部屋は散らかってるから、僕の部屋の方がよっぽどいいだろ」
「あぁ!?今から片付けてやんよ!!」
「もうわかった、わかった!おまえらみんなここに布団持ってこい」

一兄の鶴の一声で、その晩は結局居間にぎゅうぎゅうに布団を敷き詰めてみんなで眠ることになった。一兄の隣が誰かでまた揉めたが、私を真ん中にして二郎と三郎でつくった川の字の上に一兄が横たわるという案で妥協した。大騒ぎしている間に怖かったのはどこかへいってしまって、よく眠ることができた。