テリトリーバトル後の山田家と長女 - hpmi
「え……すげーご馳走じゃねぇか!」
「うわあ、俺めちゃくちゃ腹減ってたんだよ」
「ありがとうございます、お姉」
「いっぱい食べてね」
固唾を飲んで見守った、テレビで生放送されたテリトリーバトルでBusterBrossは敗退。ぼろぼろで沈鬱な表情をして帰宅した三人を、それぞれの好物をたくさんつくって出迎えた。本当はおめでとうと笑って食べるつもりだったけれど、うまいうまいとすごい勢いで食べ尽くす三人を見て、内心で胸を撫で下ろした。とにかく無事で帰ってきてくれた、それでよかった。
「三人とも、今日は本当にお疲れさま。一人ずつ何かお願い事聞いてあげる!何でもいいよ!」
「…マジで?」
箸がテーブルに転がり、三人は顔を寄せあってぼそぼそ囁き合う。順番を決めていたのか、まず一郎がびしっと挙手をした。
「じゃあ、こないだ一緒に見たアニメのヒロインのコスプレしてくれねーか?」
「あーあれね、制服かわいいって言ってたやつ。でも高校生のキャラだったと思うけど、大丈夫かな?」
「よっし!!絶対似合うって!今度衣装買いに行こうな」
嬉しそうに笑う一郎を見て、今から少しダイエットをしておこうかと考える。次にはいっと手を挙げたのは三郎だった。
「お姉、一緒にお風呂入ってくれますか?」
「バッ、三郎てっめぇ……何言ってやかんだ!ガキじゃねぇんだからダメに決まってんだろーが!!」
「そうだね、三郎ももう中学生だしさすがにね…」
「じゃあ、一緒に寝るだけは?」
「う、うーん、それならいいかな?」
「なっ!」
一緒にお風呂に入るのはアウトな気がしたが、寝るだけなら服を着ているしいいかなと思ってしまった。初めに難度の高い例を出してからハードルを下げて、先に断ってしまったという後ろめたさからも承諾しやすくさせる、セールスなんかでよくある手口だったような。これが交渉のテクニックだよ低脳には真似できないだろうけどねぇ〜と煽られている二郎に、二郎は何かある?と聞いた。
「俺は……姉ちゃんがいつも笑顔でいてくれて、これからも家族で一緒にやっていけたら、それ以上望むことなんてないよ」
「二郎…」
ちょっとじーんとして、一郎や三郎とも同じような顔を見合わせる。絶対に泣かないと決めていたから、目頭が熱くなるのをぐっとこらえて笑った。
「また頑張ろう。ずっと応援してるから」
「おう!」
「はい!」
自慢の立派な弟たちは、力強く頷いてくれた。