理鶯の彼女とマットリ二人 - hpmi
「おー何シケた面してんだよ」
「体調でも優れないんですか?」
「……悩みが、あって」
左馬刻と銃兎が聞いてくれたのに私が沈んだ声で返事すると、少し心配の色を濃くした目でそれぞれ見つめられた。
「どうしても、どうしても、理鶯とキスできなくて」
私の告白に二人は一気にどうでも良さそうな顔になった。 もうほとんど聞く気がないのはわかっているが一人言のように話を続ける。
「理鶯のこと大好きだししたいのは山々なんだけど、あのゲテモノ料理を思い出しちゃって……」
「そりゃ無理だよなァ。別れろや」
「こら、そう短絡的ではいけませんよ。まあでも、よぎってしまうのは仕方がないというか…」
「何の話だ?」
突如割って入ってきた低い声に、三人でわっとソファから飛び上がった。森から直行してきたらしく肩に葉っぱを乗せた理鶯が無表情で出入り口に立っていた。
「いや、ただの雑談だよ!ね!」
「ああ、こいつのちょっとした悩みを聞いてただけで」
「…悩み?何かあったのか。小官に話してくれ」
長身を屈めて真摯な瞳で覗き込んでくる理鶯に、ぐっと良心が痛む。こんなに素敵な彼といつまでも一歩踏み出せず深い仲に進めないなんて、やっぱり嫌だ。
「おや、こんなところにスカイラウンジのディナーの招待券がありますね。野郎同士で行っては勿体ないですから、二人で使ってください」
「おーたまにはまともなモン食って来いよ」
「銃兎、左馬刻……!」
「いいのか?」
渡してくれた封筒の中を覗くと諭吉さんが二人。健闘を祈る、と力強く頷いてくれた銃兎と左馬刻を残して、私は理鶯と部屋を出た。きっと素敵な夜になる。