可哀想、とか言わない




最近は俺の朝食だったり洗濯をしたりと家政婦同然な働きをしているあなたのなまえをリビングのソファに座らせた。マネージャーになってから、この部屋に来ても色々片付けとかしていてまともに座ったところなんて見た事なかったな、なんてふと思った。


「なんか飲むか?」


「…結構です」


「あっそ」


最近の俺とコイツの会話を聞いてヅラが夫婦漫才みたいだと言った。そんな会話も今日はしていない。コイツのテンションがおかしいから。自分からは話そうとしないあなたのなまえに俺は「今日コンビニにいたのってお前の知り合い?」と聞いた。その答えにあなたのなまえはコクンと頷く。


「あんま仲良くなかったみてーだけど」


確信をつくような事は言いたくなかったが、あなたのなまえは「高校の時のクラスメイトです」そう言った。


「…あの子達にいじめられてたんです」


「え?」


「いじめられてたんです。高校の時」


急に告白された過去に俺は何と言っていいか分からず、「お前が幽霊みたいだから?」とバカみたいな事を聞いてしまった。


「…聞きますか?昔の話ですが」













あなたのなまえは抑揚もつけず他人事の様にその時の話をした。



あなたのなまえ曰く、昔は幽霊みたいじゃなくまともな人間だったらしい。

ある時、あのコンビニで見た奴らの一人がある男に告白したらしいが玉砕。そしてあなたのなまえの事がそいつは好きだと言ったもんだから、女は面白くなかった。学校のリーダー格みたいな奴だったらしく、クラス全体であなたのなまえをいじめる様に仕向けたらしい。目立たなくする事で少しづついじめが無くなっていったが、あなたのなまえはその後も以前の自分に戻る事が怖くてそのままで過ごしている。


「怖いんですよ。もう。このままだったらいじめにもあわないですし」










「くっだらねー」

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