俺のSとMは反発し合わない




「それでは、次のニュースです。en.en史上初、高杉晋助さんが表紙とモデルを務めた今月号が売り切れ続出という事で、発売開始から早くも3日目にして増刷が決定しました。非常に手に入りにくく、ネットオークションでも破格の金額で取引されているとの事で、今回そんなレア物のen.enを手に入れた方々にお話を伺いました」


「コンビニに入って真っ先に雑誌コーナーに行きましたー!1冊しか無くて他の人と取り合いになったけど、なんとか買えました」


「もうヤバイよねー!晋助のあの顔!ドSさが最高でした!」


「買ったわよ〜!もうあの晋助ちゃんを苛めてる感じが堪らないわ〜。あらあなた、私が男だからって引いてない?今の日本はゲイとか隠す時代じゃないのよ。あんな特集を待ってたのよ〜」


「私、Sなんで、晋助がヤられてる感じのページはヤバかったですー。保管用と実用用に2冊買いました。え?実用用は何に使うかって?実用は実用でしょうよ!!え、分からない?実用用はそりゃ…」


ピッ。

赤いボタンを押すと画面に映っていた実用用に語ろうとしていた女の顔が消え、代わりに黒い画面の中にドン引き顔の俺が映っていた。







バンっ!!!


「!?びっくりしたー!!…ヅラよぉ、ノックくらいしろや」


「それどころじゃないわよっ!!!今回のen.enの売れ行きが、過去最高なんですって!!やるじゃない、晋助!!さすがね!ところであの写真ってカメラマンの指示?タイトルも良かったわ。何だったっけ?あれ、あの、あれよ!あれ。えっとー、うん。そう、あれ良かったわね」


「全く覚えてねーじゃねぇか!あなたの知らない晋作のSとM≠カゃ!!」


「そう、それそれー」


「さらっと流してんなよ」


「それより一体何があったのよ。打ち合わせの時には全く乗り気じゃなかったのに。あんたにあんなドMな一面があるなんて知らなかったわ」


「…その場の雰囲気に飲まれた。そして俺はMじゃねぇ」


「は?」


そう、あれはあの空気に飲まれただけだ。そう、きっとそうだ。じゃなきゃ、この俺があんな格好するわけない。

ALICE+