目覚めてもホラー




はぁ…はぁ、助けて…助けてくれ…{emj_ip_0792}逃げても逃げても奴が猛スピードで這って追ってくる{emj_ip_0792}井戸の中に…井戸の中に引きずり込まれる{emj_ip_0792}








「……さ…ん」


「た…ぎさ…ん」


「たか…ぎさん」


「高杉さん」



ハッ{emj_ip_0792}ぎゃああああああああ{emj_ip_0792}


「殺されるぅ{emj_ip_0792}助けてぇー{emj_ip_0792}」


「高杉さん、私です。あなたのなまえです。おはようございます。お迎えにあがりました」


えっ?あ、あ?なんで貞…。コイツがここに居るんだ?あ、そっか。昨日から俺のマネージャーになったんだった。ベッドサイドには昨日とほぼ服装の変わらないあなたのなまえが立っていた。


「悪い夢でも見ましたか?助けてと言ってました。寝汗がすごいです」


「こ、この俺が助けてとか言うわけねーだろ{emj_ip_0792}」


…。


「お湯を張ります。出発まで時間がありますので」


貞子お母さん、ありがとう。それから湯船に浸かり、俺は完全に目が覚めた。バスローブを着てリビングに行くといい匂いが漂っていた。


タオルで髪の毛を雑に拭きながらテーブルにある朝食を見渡す。ま、見た目が悪ぃんだからこの位出来ねーとダメだろ。ふと、視線を感じた。あなたのなまえが俺を見ている。あ、そーゆー事ね。セクシー過ぎる俺に見惚れてんだな。分かる。分かるよー。


「なーに見惚れてんだよ。実は俺のファンだったとか?」


鼻でフッと笑うと、


「いいえ、冷めますので早く食べて下さい。そして私はエディーマーフィーのファンです」


「えらいグローバルだな、おい」


早く食べろの視線かい。そして黒人派かよ。いや、俺もエディーマーフィーは好きだけどよ。一応、「いただきます」と言って朝食を食べている間、あなたのなまえは今日のスケジュールを淡々と告げていく。


「…で午前中は終了です。午後2時からはen.en≠フ高杉さんの特集で打ち合わせがあります」


「あ?エンエン?」


「そうです。高杉さんのエロス特集です」


ぶはぁっ{emj_ip_0792}


ちょうど口に含んでいたコーヒーを一気に吹き出した。ちょい待て。俺はそんな特集を組むとか聞いてねぇぞ。俺はそーゆー系は全部断って来たんだ。なんつーか俺のポリシーだったんだよ。


「あ、桂お兄ちゃんからこれは黙っておく様に言われてたんでした。じゃあ今のは無かった事に」


「出来るかぁー{emj_ip_0792}」


桂お兄ちゃんとかエロス特集とかツッコミどころがたくさんあるわ。ヅラに速攻で電話したら、朝だからかおっさんの声で「需要があるうちに脱いどけ」とだけ言われて電話は切れた。





【分かった事。あなたのなまえには一応好きなタイプがあるらしい】


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