空虚な空耳




最近の俺はヅラに良いように使われている様にしか思えない。あれだけ嫌だと断わってきたあの雑誌に出るとは。今、俺は最高に機嫌が悪い。


「今回カメラマンを担当しまーす、アゴ美でぇす♪高杉君を撮影出来るなんて嬉しいわぁん。よろしくねん♪」


どうして俺の周りはオカマ野郎が多いんだ。更に俺の機嫌は悪くなる。


「あらー、お顔が怖いわぁ。でもそんなお顔もス・テ・キ♪」


「黙れカマ野郎」


イメージなんて知った事か。このアゴ美とやらには本性をさらけ出しても問題ないと見た。俺とあなたのなまえ、アゴ美と数人のスタッフと会議室で今回の特集の話し合いだ。腑に落ちねぇが、ヅラは一応社長だ。稼ぎ頭の俺が動けば結構な金が入ってくる。いつも世話になっているから乗り気じゃねぇが、仕事は受ける事にした。

内容は毎度の事だが、ベッドシーンを想わせる様なショットがメインらしい。話し合いの最中、ふとあなたのなまえを見ると何故か少し生き生きしている様にも見える。こいつ案外こういう系好きなのか?片方の口角が少し上がったのを見た俺はあなたのなまえに少し恐怖を覚え、鳥肌がたった。

撮影は1週間後。面倒クセェけど俺もそれなりに体絞っとくか。






と、思ったものの。人間は何故かダイエットやらを意識し始めるとやたらとカロリーの高い物が食べたくなる。全ての仕事を終えた午前1時。帰りの車の中で俺は無性にラーメンが食べたい衝動にかられ始める。


「あー、腹減った。ラーメン食いてぇ」


無意識にそう思った。


「…行きますか?」


静かに車を運転していたはずのあなたのなまえがそう呟いた。


「どこに?」


「ラーメン屋さんに」


「なんでよ?」


「今、高杉さんがラーメンを食べたいとおっしゃっいました」


それを言われ、さっきラーメンを食べたいと思った事は口に出ていたのと分かった。「私の行きつけがあるんですが‥行きますか?」珍しく意見を出したあなたのなまえに俺はちょっと驚いた。


「おぅ、連れて行けよ」


右にウィンカーを付けて、自宅とは違う方向に走り出した。着いた場所は隠れ家の様なラーメン屋だった。ラーメン大好きな俺だが今までこんな場所があるなんて知らなかった。一応サングラスをかけ、2人で店内に入ると、明らかにコイツが店長だろ、言いたくなる親父と店員、数人の客がいた。


「うぉっ{emj_ip_0792}あなたのなまえちゃん久しぶりー」


「店長さん、お久しぶりです」


やはりコイツが店長だったか。


「最近全然来てくれねぇから心配してたんだよ?」


「申し訳ありません。最近仕事を始めまして」


「おぅ、そうかいそうかい」と返事を返した親父の視線が俺に向いた。急にニヤニヤした顔をし出した親父はあなたのなまえに親指を立て「コレか?」と聞いた。古ぃーよ。無言で首を左右に振るあなたのなまえにちょっとイラっとした。


「なんだ。あなたのなまえちゃん美人だから男が放っておかねーと思うんだけどなー。あ、いつもの席空いてるよ」


そう言われてあなたのなまえの定位置であろう席に通された。いや、待て親父。あんた今なんつった?


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