過去を知る時




次の日、あなたのなまえの迎えで事務所に向かった。相変わらず分厚いレンズの眼鏡をかけていた。昨日の事実をもう1回確認しようと、奴の眼鏡を外そうとしたら「触らないで下さい」と、手を叩かれた。ホント、俺にこんな事出来んのはヅラとコイツだけだぜ。ヅラと二人きりになった時に昨日ラーメン屋で起きた出来事を話した。すると「だから元は可愛いかったんだって。高校入ってから段々と暗くなっちゃって。理由なんてとても聞けないわ」と、何故ああなったか原因は分からないらしい。コンタクトにすりゃーいいのに。










「あー、悪ぃ。ちょっと水買ってきて来んね?」


車での移動中に持っていた水を飲みきった俺は、あなたのなまえに水を買ってきてもらうようお願いした。「自分で行ったらどうですか?」とマネージャーらしからぬ事を言い出した。


「お前なー、俺を誰だと思ってんの?高杉晋助{emj_ip_0792}今をときめくこの俺が…」


「うるさいので、行ってきます」


「あ、はい、すいません」


あなたのなまえは俺の言葉を遮って、ちょうど近くにあったコンビニに駐車した。ねぇ、なんなの?最近こんなやりとりばかりで自分がSかMか分かんなくなっちゃったよ。












あなたのなまえがコンビニに行ってしばらく経った。


「なかなか帰ってこねーなー」


水を買うだけなのに10分しても戻って来ない。トイレかとも思ったがアイツも一応女だからそこはそっとしておこう。










更に5分経った。


「やっぱり遅ぇ」


とうとう痺れを切らした俺は車から降りようとした時、コンビニの出入り口近くであなたのなまえが3人の女と喋っているのが見えた?年齢からして同じ位か。あいつにも友達いたんだな。なんて思ってそのままにしてやろーかと思ったいたが、どうやらそうではなかったらしい。あなたのなまえの肩を押して、何か文句を言っている様に俺には見えた。









「おい、何してんだよ」


後部座席から慌ててあなたのなまえの元へ駆け寄った。


「なにこの人ー。あんたには関係な…つーか、なんかカッコよくね?あれに似てない?あれ、あれ{emj_ip_0792}高杉晋助{emj_ip_0792}」


あ、サングラスしてて良かった。顔隠す事さえうっかり忘れてた。


「ほら。帰んぞ」


俺には強気のあなたのなまえが珍しく俯いて何も言わないし、動きもしない。


「行くぞ」


あなたのなまえの手首を掴み、あなたのなまえを取り囲んでいた女達の間を抜けて、車へと向かう。後ろからは「あの男、アイツの彼氏か何か?つーか、どーしてあなたのなまえばっかり」とかなんとかグチグチ言っている声が聞こえたが、振り向かず車の後部座席にあなたのなまえを乗せ、俺はエンジンをかけた。


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