名前を授けられた私は急に人間になったんだと言う実感が湧いた。皆で話し合った結果、しばらくの間万事屋でお世話になる事になった。とは言っても寝泊まりをする場所は新八君の自宅だ。新八君のお姉さんのお妙さんが偶然新八君の忘れ物を届けにここへ訪れ、私の事情を聞き「そういう事なら私と新ちゃんの自宅にいらっしゃいな」と快く私を受け入れてくれた。「こんな可愛い純粋な子を銀さんの隣に置いていたら大変な事になるわ」と小声で言ったお妙さんを坂田さんは無言で睨みつけている。
「あのっ、あの…新八君、神楽ちゃん、定春君、お妙さん、そして…坂田さん。こんな私の為にすみません…これからよろしくお願いします」
急に現れた見ず知らずの私なんかにここまで優しくしてくれる皆にまた涙が出そうになった。
「いつでもここには来てもいい。そもそもなまえが倒れていたのがこの万事屋の前だしな。何か手がかりがここに集まるかも知れねぇし、下はここの大家がやってる妖怪ババァの飲み屋だ。この町中の連中が通う店だからそっちでも情報を集めてみるところから始めよーや」
坂田さんが案を出すと、「そうですね{emj_ip_0792}なまえさんはまだこの町の事を知らないから、ひとまずは情報収集から頑張りましょう{emj_ip_0792}」と新八君が立ち上がって張り切った様子で言った。
「きゃっほーい{emj_ip_0792}友達が出来たアルー{emj_ip_0792}」
神楽ちゃんはソファの上で飛び上がり喜んでいる。
「そうね。私もまた妹が出来たみたいで嬉しいわ。困った事があったら何でも言って頂戴ね」
「はいっ{emj_ip_0792}」
…なんだろう。なにか気にかかるこの感じ。
そうだ。
私には時間が無い。
あの人は私にひと夏だけ≠ニ言った。そして想いを口にしたら水の中に戻る≠ニ。私はその意味を分かってる。
それなのに私はもう既にこの気持ちに気付いてしまっている。彼に好きと伝えれば…坂田さんに気持ちを伝えれば元に戻るという事を。
気持ちを隠して彼の近くに居る
か、
気持ちを伝えて消えゆく
か。
今の私にはまだどちらの答えも出せないままだ。ただ今は彼の笑顔をまだ見ていたいと思う。
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