「すいませんでしたァァァァァァ{emj_ip_0792}」


似た様な景色をついさっきも見た。デジャブというものか。正座をして床に頭をこすりつけ謝る坂田さんがそこにいた。

すぐ横には冷ややかな目で坂田さんを見る新八君。


「坂田さん、私気にしてませんよ?」


「ほら{emj_ip_0792}ね{emj_ip_0793}本人さんこう言ってるよ?解決したよ{emj_ip_0793}


ピンポーン


あ、ナイスタイミング{emj_ip_0792}お客さんです{emj_ip_0792}はいはーい、今逢いに行きまーす」


偶然かとも思えるそのチャイムに颯爽と立ち上がり玄関先に坂田さんは向かって行った。「チッ」と舌打ちが聞こえた。


「あの、新八君。違うの、私、お妙さんから頼まれて忘れ物を届けにきただけなの」


私は忘れかけだった忘れ物の存在を思い出した。「はい」と渡すとつま先を玄関先へと向けた。さっきのチャイムを鳴らした主はどうやら仕事の依頼人だったようだ。年配のおばあちゃんだった。玄関からリビングに繋がる廊下で坂田さんとすれ違う。その瞬間、ほんのちょっとだけ坂田さんと目が合った。すぐ顔を背けてしまったのは私だった。











「なまえちゃん、どうかしたの?」


お妙さんの待つ家へと戻り、庭掃除をしていた私にお妙さんが言った。


「え?」


「だってさっきから唇を触っているから気になって」


無意識に触っていただなんて。「いえ、なんでもないです」きっと咄嗟に出た嘘はちょっと高い声が出ていた気がする。私の顔を見て、笑ったお妙さんはそのままどこかへ行ってしまった。

あの時目が合った坂田さんの顔がしばらく忘れられそうにない。

次あったらどんな顔をすればいいのだろうか。私はこの時自分は本当は金魚だという事を忘れていただろう。


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