それは突然やってきた。その日は生暖かい雨が降っていた。テレビから流れる天気予報では明日も同じに天気になるだろうと言っていた。

今日は万事屋にお客さんがやってくるらしい。「銀さん、もうお客さん来ちゃいますよ。いい加減ジャンプ読むのやめて下さい」「神楽ちゃん、お昼だよ。いつまでパジャマでいるつもりなの?早く着替えて」と、眼鏡の男の子が忙しなく動いている。最近は電話での依頼が多かった様だけど、今日はここに直接お客さんが来る予定の様子みたい。


「うるさいアルなぁ。だからいつまで経っても新八のままアル。新一になれないアルよ」


「そうだよー、新八君。見てみろ、工藤君を。あちらさんは新一だから高校生のくせにバンバン仕事来てるじゃないの。俺も出来るもんなら新一君を雇いたかったわ」


「うるさいよアンタら。どこの漫画引っ張りだしてきてるんだよ{emj_ip_0792}僕の名前が新一でも、仕事の量は変わりませんよ。さぁ、準備してください」


眼鏡の彼は新八君というらしい。実家からここへ通っている。母親の様に2人にほぼ毎日叱咤している。嫌味を言われても笑いで返す彼らは仲がいい。そして髪が赤い女の子は神楽ちゃんと呼ばれている。ここに居候の身の様だ。押入れを部屋代わりにしている。

そして彼…坂田銀時さんという名前らしい。甘いものが大好きで、いつも漫画をあの席で読んでいる。兄貴分でもあり、リーダー役と思う。でも、私に分かるのはここまで。だって彼らがここにいるところしか見れないから。外でどんな交友関係があって、どんな事をして過ごしているのかなんて私には分からない。


ピンポーン


「あ、ほら銀さん、神楽ちゃん。お客さんだよ」


新八君は玄関へと出迎えに向かった。


「こちらどうぞー」


坂田さんがお客さんを誘導した。今回の依頼はよくある居なくなったペットを探して欲しいという内容だった。依頼主の女性は何か妖しい雰囲気を漂わせる人だった。例えるならただの人間ではないような。

話がひと段落すると、依頼主はこう言った。


「あら。可愛い金魚ですね。ちょっと拝見しても?」


私たちに気付き、視線を移す。


「え?あぁ、どうぞ」


許可を貰うと、お客さんは私たちの前にしゃがみ込み目線の高さを合わせた。


「この子、可愛いですね。キレイに二色に分かれてる。…でも傷だらけだわ」


私を指差し、坂田さんに問う。


「そいつでしょ?祭りで見かけたんですよ。










一目惚れってヤツですかね」




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