ザーと聞こえる。高音か低音かも分からない音。こんな音は今まで聞いた事がない。ただただ同じ音が流れるばかり。
「オイ、大丈夫アルか{emj_ip_0793}しっかりするアル{emj_ip_0792}銀ちゃん、新八{emj_ip_0792}コッチに来てヨー{emj_ip_0792}」
身体を揺さぶる振動、硬い地面の感触、そして肌に当たる雨の雫。全て感じた事の無い感覚だ。目を開くにも重くて開かないし、体も痛い、痛い、痛い。私はそのままそっと眠りに入った。
「…なかなか目覚めねぇな」
その声が急に耳に入ってきた。この声が私の瞼が開く呪文だったのだろうか。ふと、意識がはっきりし、ゆっくりと目を開く。と、同時に若い女の子が急に視界の中に飛び込んで来た。
「起きたアル{emj_ip_0792}大丈夫?どこか痛むところ無いアルか?全身傷だらけネ」
「あ…あの…」
「神楽。びっくりしてるだろー。…あんた、大丈夫か?」
「?」
状況がまったく把握出来ない。ふと、目に映った鏡には髪の毛が真っ黒く、色白な女の子が映っている。その人物は私が目をそらすと、同様に目をそらした。
「どうしてあんな所に倒れていたアルか?土砂降りなのに傘も持ってなかったネ。それに身体、傷だらけアル」
あんな所?倒れていた?
急にふとあの出来事を思い出した。あの時、依頼主の女性が私に言っていた言葉を急に思い出した。
ひと夏だけあなたにあげましょう
本当に?あの言葉はこういう意味だったの?簡潔に言うのなら私は人間になった≠ニ。あの人は魔法使いか何かか。何者かは分からない。しかし、この現状はそうとしか考えられない。両の掌を見てみる。今まで私には無かった指や爪。それ以外にも体の変化はある。私は人間になったのだ。
「頭でも打ってんのか?病院に…」
「いえ!…結構です…。元気ですから…大丈夫です」
言葉も発せられる。「本当は金魚で魔法使いが人間にしてくれました」なんて答えたら頭を打ってると思われるのは分かっている。明らかに挙動不審な私に彼は、
「ひとまず、あんたの話を聞かせてくんね?」
彼は私に優しくそう言ってくれました。
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