山崎退の監察日記 その3







ちーす、山崎退でーす。

え?3回目ともなると自己紹介が雑だって?別にいいじゃん。つーかストレスなんだよ{emj_ip_0792}みんなのイライラが何故か知らないけど全部俺のところにやってくるんだよー。え?いつもの?はいはい。姉さん、事件でーす。










なまえちゃんが居なくなって約1ヶ月が経とうとしている。あれからなまえちゃんに関する情報は何も掴めないまま。隊士達は苛立ちを隠せないでいる。そんなある日の夜、俺は自分の目を疑う光景を見てしまった。あの事件とは違う、別の薬のやり取りの現場に張り込んでいたんだけど…





「大体の情報は収集できたし、そろそろ帰ろう。長居は不要だ」



監察方の部下と行動している時だった。え?俺に部下が居るのかって?居るよー、バカにしないでよー{emj_ip_0792}土方さん達程の地位は無いけど、俺にもそれなりに部下は居るの{emj_ip_0792}…じゃなくって、ある程度の所で引き上げようとした時だった。遠く建物の屋上に数人の人影を見つけた。



「皆っ{emj_ip_0792}しゃがんで{emj_ip_0792}」



潜む様な小さい声で部下に指示を出す。そっと俺は望遠鏡でその姿を確認したんだ。



「(…{emj_ip_0793}なまえちゃん{emj_ip_0793})」




その集団の中になまえちゃんにそっくりな女の子が居たんだ。忍者の様な白い忍び装束を纏っていて、髪は長い髪が風に舞っていた。いつもポニーテールをしているなまえちゃんだけど、髪をほどけばあの子の様に腰にかかりそうな長さにはなる。口元は口布で覆われていたが見た目がなまえちゃんと瓜二つだった。しばらくするとその集団は去っていった。



「まさかね…はは…」




俺はこの事を誰にも話さなかった。あの子がなまえちゃんだと言う確証が無い。ただ俺の中ではあれは間違いなくなまえちゃんだと思っている部分と、そうでないでくれと思う部分が葛藤していたんだ。そしてそれを認めざるを得ない決定的な事が起こった。






とある違法賭博の現場に客のフリをして潜入した時だった。そこは歌舞伎町四天王の1人、華佗の縄張りだった。暗い照明の元、数十人の客がいた。今日は下調べをするつもりで行っていたんだけど、急に後ろから何者かからの視線を感じて振り返ると遠くにあの白い忍び装束を着たあの子がいた。俺が彼女を見ている事に気付くと方向を変えて去ろうとしていた。



「なまえちゃん{emj_ip_0792}」



活動中は目立たない様にする。分かっているよ、そんな事。ルール違反に当たるって事なんて。でも俺は居ても立っても居られなくて彼女に声をかけてしまった。すると彼女は立ち止まり俺を見た。



「{emj_ip_0792}」




俺はこんななまえちゃん知らないよ。


あの時俺を見つめるなまえちゃんに似た彼女が俺に向けた視線は冷酷ささえも漂うただただ冷たく鋭いものだった。



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