集団リンチとフルムーン
「いや、だーかーらーホントにとっつあんに頼まれて動いてただけなんだってー{emj_ip_0792}」
ちぃーす、お久しぶりっす。ねぇ見て、この状況。やっと帰ってこれたかと思ったらどーした?真選組一同に囲まれて何の拷問?
これ。あ、視姦?新しいねー、いいよー、嫌いじゃないよー。でも沖田君の場合100%違うね。私がみんなの前で正座させられて必死に弁論してるのを面白がってるね。口元がほくそ笑んでるもん。また写メ撮ってるもん。連写の音半端ないよ。シャシャシャシャうるさい。
「うーん、しかしなぁ…とっつあんから俺たちは何も聞いていないんだよ」
近藤さんがあぐらと腕を組み、困った顔をしている。確かに今回の件は色々あったけど、ちゃんと訳があって動いたんだし、警察のトップであるとっつあんから頼まれたのは事実だし、どーしたもんかー。土方さんも腕を組んで困った顔をしている。
「近藤さーん、信じてよぅー私ホントに…」
「なまえちゃ〜ん、お〜そくなってご〜めんねぇ〜。今日のキャバクラ、メンバーが上玉ばかりだったもんでぇ」
散々同じ事を言い続け、私もどうしようかと思っていた時にこの空気をぶち壊すふざけたとっつあんの声がした。
「「「松平のとっつあん{emj_ip_0792}」」」
突然現れたとっつあんに皆んなが驚いている。
「なまえちゃん、今回はどーもありがとね。はい、コレお土産のういろう…」
「…こんのぉ、エロジジィが{emj_ip_0792}出てくんのが遅いんじゃボケェ{emj_ip_0792}ういろうとかどこのキャバクラ行っとんのじゃ{emj_ip_0792}わしゃ、ういろうより八つ橋派なんじゃ{emj_ip_0792}」
あー、この期間中、私にだって色々溜まってた鬱憤を今出してやったわ。ういろうはね、昔喉に詰まらせて死にかけた事があってから私には殺人兵器にしか見えないのよ。
しかし、とっつあんが来てくれたおかげで近藤さん達は今回の件が本当にとっつあんからの命令であった事を理解してくれ、私を自由にしてくれた。ま、確かに私が本当に華佗側の人間だったらすんなり真選組の中には戻してくれないだろう。
「今回限りだからね{emj_ip_0792}とっつあん。なまえちゃんは真選組にとって大事な仲間の一人であり、俺にとっては妹分なんだ。他の隊士だって同じだ。もし今後、今回の様な事がある時は必ず報告して欲しい」
近藤さんの静かな投げかけにとっつあんも「分ーかったよぉ〜、近藤」と、理解を示したようだ。
「あー{emj_ip_0792}やっと帰ってこれた{emj_ip_0792}やっぱりここは落ち着くわー」
約1ヶ月ぶりに帰ってきた自室に寝転び天井を見上げた。あー、アレの為とはいえ、さすがに今回は疲れたな。
散らかったまま出てきた自室は前と変わらず散らかったままだった。
気持ち良い風が吹く。縁側に出て空を見上げると大きな満月が静かにこちらを照らしていた。
「お前、クソが長すぎんだよ」
縁側に腰掛け、月を見ていた私の頭上から、聞きたくて堪らなかった人の声が聞こえた。
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