奴の名は。







「目覚めよ…」










「目覚めよ、なまえ」








ん?なんだ?このRPGみたいなセリフは。あーダメだ。体が自由に動かないや。


「いつになったら目覚めるのじゃ?」


「華佗様、もうじきかと思われます」


え?何この会話。体と目は開かないのに耳は活動しているらしい。アクションは起こせないが今、私の周りにいるであろう者達の会話が聞こえる。


「そうか…目覚めた時には薬の効果でコイツは私に忠実な手下となっているはず。よくやったお前達」


「はっ、有難きお言葉{emj_ip_0792}」










え、え、え?ん?



何言ってるのこの人達。もしかして、あの時私が嗅がされた薬のせいで華佗に洗脳される様になってるワケ?つーか、こんな堂々と本人が居る前でトリック明かしちゃうの!?こいつら私が動いてないから意識取り戻してるとは思ってないんだな。ペラペラ喋ってるけどさ。

しかし待てよ、薬のせいでそうなるのならどーして私は理性が残っているんだろう。んー…






はっ!?まさか、あの時の鼻づまりか!!あの夜確か匂いさえも分からない程に鼻がつまってたけど、それのおかげで薬が効かなかったとか!?

鼻づまりグッジョブ!!

鼻づまりも役に立つやないの!!











しばらくして私は目が覚めたフリをした。華佗に洗脳された様に演技をすると、華佗は高笑いをして喜んだ。それを見た私は薬が効いているフリをし続けようと決めた。





それからの私の昇格への成長ぶりは天晴れな物だった。さすが私、八方美人。


戦闘員をまとめる立場になり、終いにはとっつあんが言っていた例の薬の工場にも出入りを許される様になった。


そして私の最大の目的である柴咲コウを探す為に吉原へ行く事も難無く出来た。


しかし、アイツがちょこちょこ現れた。






奴の名は。





そう、山崎。








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