騙された大賞とりました。
ダダダダダダダダダダダ…スパーン‼
「土方ざぁーん‼私を売りましたねー‼」
近藤さんの話を最後まで聞かずに、土方さんの部屋へと走りこむ。トシからオッケーもらってる≠チて何⁉怒られたってかまうもんかっ‼挨拶も無しに勝手に襖を勢いよく開けると、仕事で文書を書いていた土方さんがいた。
「お前、一言声かけてから入れっていつも言ってんだろ」
私をチラッと見るとすぐに視線を文書に戻した。土方さんの部屋に寝転び、ぐるぐる回転する。
「いいんですかぁ‼私がお客さんとワイワイガヤガヤニャンニャンしてもー⁉」
「ワイワイガヤガヤはあっても、ニャンニャンはねぇだろ」
一向に私を見てくれないから、文書を書いている机の上に正座してやった。土方さんの顔が怒った顔をしたが、すぐに呆れた顔に変わった。
「はぁ…お前も近藤さんには世話になってんだ。少しくらい協力してやれ」
頭をガシガシとかきながら、淡々と話す。確かに今ここにいるのは近藤さんのおかげだけど、土方さんは私が他の男と呑んだりするのは嫌じゃないの?分かってはいるけど腑に落ちない理由に何故か悲しくなってくる。
「少しは力になってやれよ。な?」
見るからに元気の無い私の頭に土方さんはポンと触れた。普段ならこんな優しくしてくれないのにこんな時だけずるいよ。
「頼むから」
子供をあやすように優しく言うからつい、コクンと頷いてしまった。それを見た土方さんはこう言った。
「はい、じゃ仕事の邪魔だ。どっか行け」
騙されたー‼
土方さんの優しさに騙された私はトントン拍子で進む話に流され、今夜スナックすまいるに出勤する事になったのです。
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