ムーンプリズムパワーメイクアップ
「ギャー!痛い、痛いよー!!あ、ち、ちょっとおっぱいポロリしちゃってますけどー!?」
部屋に押し込まれた私はブサイク嬢達に揉みくちゃにされた。一人は髪の毛をセットし、一人は私の服を脱がしスナック用のドレスに着替えさせられ、一人はメイクを施す。そんなにカールして変じゃない?モーツァルトのもみあげみたいになんない?衣装なんてそんなスリットぱっかーん入って、しかも胸元もぱっかーんって…ペチャパイなのに。…あ、だから大量にパット入れたのか。ありがたや。つーかさ、一通りのメイクは女の子の嗜みとしてしてるけどさ。もう、鏡見るのが怖いわ。
約1時間かかって劇的ビフォーアフターが終了した。どんな匠の技が仕上がったんだろうか。なんかもう疲れた。
コンコンと部屋の扉が鳴った。「入ります」と、お妙さんが入って来て私を見た瞬間笑顔になった。
「やっぱり!私の目に狂いは無かったわ!あの時、目を付けてて良かった!元々綺麗な顔立ちですものね。完璧だわ」
私を仕上げてくれたブサイク嬢達も満足気な顔をしている。鏡を見てごらんなさいな、と案内された姿見の鏡にはいつもの私とは似ても似つかない私がいた。鏡にへばりつく私にお妙さんは小さく笑う。
「真選組なんてあんなむさ苦しい所になまえちゃんは勿体無いわ。私たちはいつでもあなたを歓迎します」
と、言ってくれた。あぁ、この姿…土方さんに見てもらいたかったな。私だって頑張ればこんな風になるんだよ、って。あ、頑張ったのは私じゃなくてブサイク嬢か。こんなに綺麗にしてくれたんだ。お妙さんの期待に応えられる様に頑張らないと。
「お妙さん、みんなありがとう。でも私キャバ嬢は初めてで…どんな風に接すればいいかよく分かんなくて…」
「なまえちゃん、キャバ嬢に求められる物は一つだけよ」
「はい、何でしょう?」
お妙さんの目が鋭くなる。一体何が必要だというのだろうか。
「金よ」
「はい?」
「可愛いとかブサイクとか、新人とかベテランとかそんな事はどうでもいいの。要は客から金を出させるスキルさえ持っていればいいのよ」
女王のリアルな意見。私も一日だけとは言え、キャバ嬢になったのだから、じっちゃんの名にかけて…いや、真選組の名にかけて、客から金をATMの様に引き出させたいと思います。
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