開幕 わたくしは今も昔も、そしてこれから先も神を愛せるようにはならないでしょう。何故なら、神だなんてものは人間の逃げ道にと造り出された、エゴイズムの結晶であり創造物にしか過ぎないのだから。 無神論を並べてはみましたが、わたくしの家系は代々聖職を生業としておりました。父は神父に、母はシスターとして村の平安を保っておりました。しかしそんな環境にいたからこそ、わたくしは神など存在しないのだということに気付けたのですから大変皮肉なことです。 とある時に、災害が起こりました。作物は育たず、魚や獣も姿を消しました。物を買うお金もなくなり、屋内に溜め込んでいた食糧も底を尽きてしまいました。 なので両親は、わたくしを売りに出すことにしました。「神のお告げだからどうか恨まないでくれ」と吐き捨てられたことを、ありありと覚えています。ただの見苦しい言い訳はわたくしの心を酷く残忍に傷付けました。 それからの体験は想像を絶する惨たらしいまのでした。涙なしでは語れません。奴隷としてこき使われることはもちろんのこと、男娼を仕込まれたこともございました。悲痛と絶望と失意と憎悪に頭を支配され、死んでしまった方がましだとすら思えました。 その時だったのです。 「ねえ、お兄さん。どうせならその命、もっと面白いことに使ってみないか?」 ――悪魔が、わたくしに語りかけてきたのは。 目の前に広がる景色が、世界が一斉にして変わっていくのを感じた。 俺を縛り付けていた性の悪い主は、眼前で血を吐き下してみっともなく倒れた。自由を得た瞬間だった。 目一杯に映し出されたのは、まだ少女を思わせる幼さの残った顔立ちの、黒髪の少女だった。 共にいこう、遊戯は終わらない。 2014/02/01 執筆日は2013年6月頃でした。 |