CHARACTER
■伊吹・ユーディナー
「君にとっての正義は、何?」



【名前】伊吹・ユーディナー(いぶき・ゆーでぃなー)
【性別】♂
【種族】黒兎(人間)
【能力】目を合わせたものの時を止める
【一人称】僕
【二人称】君、お前
【セリフ例】
「……林檎、好き。美味しい」
「僕違う、やってない。本当」
「君がそんな思惟の方法に囚われるなんてらしくもないな、はっきり言うと驚愕の至りだよ」


【詳細】

 タタールの軛の最中に産み落とされる。推定年齢は880歳前後。本人もわざわざ記憶しているわけではないので曖昧。
 ロシア人と日本人のハーフ。父がロシア人、母が日本人だった。

 黒兎神の呪いを受け、気が触れてしまうほどの空腹感に苛まれることとなる。半身が神と成り得たゆえに何を捕食しても体を壊さないため、異食に走っては自己嫌悪に陥ることが多々あった。
 環境に恵まれなかったので、人としての常識が欠如している傾向にある。

 好物は林檎。林檎を頬張っている間だけは心安らかにいられるようだ。

 何を考えているかわからないように見えて、思案に耽っていることが多い。考えを表に出さないだけで、ひょっとしたら誰よりも周りのことを観察し、考え込んでしまっているのかもしれない。

 黒兎化してしまった際の容姿は、全身に数多の数字が浮かんだ巨大なウサギに似ている。その周りには懐中時計らしきものが漂っているが、能力と関係があるのかは定かではない。

 性的な感情や事柄を極端に忌み嫌う傾向にある。故に普通の愛し方を知らないので、人との接し方をいつも間違えてしまう。
 普段は途切れ途切れに話すため会話が苦手だと思われがちだが、実はとても饒舌。ただ単にお喋りが煩わしいのでゆっくり喋るだけ。真面目になった時や素が出てしまった時はよく話す。



(以下ネタバレの為反転)
 貧困な家庭に生まれる。父は軍人だったが敵兵に殺され、生活が苦になった母は幼い伊吹に盗みや殺しのすべを教え込んだ。二桁に満たない年齢でそれらを仕込まれた伊吹は、幼子ながらに殺しを覚える。
 何かを奪う形で生き永らえることがやっとだった彼にとっては、これこそが常識であり日常だった。それ故に助け合いや分け合うといった行動が、未だに理解出来ないことがある。
 盗みや殺しで生計を立てて月日が流れた頃、果物を売ってお金を稼ぐ一人の少女と出会う。この娘も貧困な生まれらしく、薄汚れたボロ布で作られたエプロンを身にまとい、真っ赤に塾れた林檎を販売していた。
 そんな少女から林檎を盗もうとすると、「ならあげる。食べなくちゃ死んじゃうんでしょう?」と無理矢理押し付けられる形でプレゼントされてしまう。この日から毎日伊吹は引き寄せられるかのように少女と密会し、林檎を貰う代わりに代金を多めに支払っていた。
 けれどそんな生活も長くは続かない。収入額が減っていることに気づいた伊吹の母親はこっそり後をつけ、伊吹と少女をついに突き止めてしまう。少女こそが邪魔な存在だと思った母親は、手元に収めていたナイフで少女を突き刺してしまった。
 それに激昴した伊吹は、母親から即座にナイフを奪うと感情に任せてめった刺しにする。母親が息を引き取ったことを確認した伊吹は、冷たくなりつつあった少女に寄り添う形で自らの喉に刃物を刺した。

 その光景を見ていた黒兎神が気まぐれで伊吹に自らの力を分け与え、伊吹はこの日から黒兎として生きることとなる。
 己が死ねない体になってしまったことに気付いた時は酷く絶望したが、やがて特異な再生力と得体の知れない力に目をつけた軍に保護され、軍人として育て上げられた。
 第二の人生を歩み始めた伊吹は軍人らしく戦争に向き合い、進んで争いの中に飛び込んで行く。しかし戦の最中に味方とはぐれてしまい、そのまま飢えて意識を手放してしまった。
 目を覚ました伊吹を出迎えたのは、頭から白いウサギらしき耳を生やした少女。名をユイと名乗る人外は手厚く介抱し、伊吹の面倒を良く見た。
 そんなユイに惹かれた伊吹は、軍が迎えに来るまでの間を彼女と過ごすこととなる。この際にずっと伸ばし続けていた髪を黒曜石で切断され、今のような短髪になった。
 やがてユイと別れた伊吹は、それから遠くない未来に再会することとなる。悲しいかな彼女は敵軍に従う敵兵だった。
 戦いを拒む伊吹と、それを受け入れないユイ。異形同士の争いに人間がついていけるはずもなく、二人がボロボロになった頃辺りはすっかり焼け野原と化していた。
 勝敗を決したのは伊吹だった。時を止める能力を使い彼女の胸に銃弾を間近で撃ち込み、そのまま覆い被さり脳天を二度撃ち抜いた。しかしユイは死ななかった。その理由は白獣だからではあるが、当時の伊吹には知るよしもない。耐え難い痛みに苦しむユイを見る伊吹はただただ泣きそうな顔をしていた。
 やがてユイは信じられないことを口にする。「私のことを食べて」と。そうしたら二人でいられる、だからさみしくないと言ってのけたのだ。
 言われた当初は拒絶した伊吹であったが、やがて折れるとタガが外れたかのようにユイの喉に食らいつき、それから先は――

 錯乱したまま死肉を食い荒らす自身をダリアナイトが保護した時、ようやく黒兎としての物語がスタートする。
 ユイを喰らったことにより彼女の能力を継いだ(というよりも借りた)彼は、黒兎で唯一二種の能力を有する存在となった。
 この能力はユイが腹から突き出して出てきた際に失われ、その際に、本来持っていた能力は目を合わせた者の動きを止めることだと判明する。

 本編では仲間である黒兎や白獣、人間失格と共に白面金毛九尾の狐との死闘を繰り広げることになった。
 死したユイの力を再度その身に宿した彼は、白面金毛九尾の狐が大切に思っていた少女を幻覚で見せ、その隙に目を合わせて時を止め刺し違える。
 鯱を気にかけていた(というよりも執着していたが)理由は、林檎売りの少女と気配が似ていたから。想いに応えられないのは、少女に対する気持ちを打ち消してしまいたかったがゆえ。また、鯱に少女を重ねている自分を許せなかった。
 もっとも、林檎売りの少女の末裔が鯱にあたるので、気配が似ているのも無理はないが。
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