シュータロウの秘事  





※強姦されてます
※女の子がひどい目に合ってます
















 それこそ頭が割れてしまいそうな程に、彼女の気持ちが伝わってくる。自らを怯えきった眼差しで見上げながら、嗚咽を必死に堪えている彼女の気持ちが、ひしひしと、今にも吐き出してしまいたくなるくらいの異物感と共に伝わってくる。
 唇を固く結んだ彼女の口の端からは唾液と血が垂れ流されていた。
 良心が痛まない訳では無い。自分でも最低な事をしてしまっていると思う。けれど、自制の思いよりも先に昂ってしまった己の獣は、歯止めがきかなかった。
 彼女の頭部から生えるイヌ科の耳は、恐怖ですっかりへたり込んでしまっていた。真っ白な、実在する動物で例えるならホッキョクグマのように純白なその耳は鮮血が滲む。彼女側にいるファミリーの嫌味な彼が「紅白でなんとも目出度いじゃないか!」と、なんとなく言いそうな気がした。

 高木さんはこんなことしない。きっと敵に何らかのマインドコントロールを受けたか、そうなる能力を喰らったに違いない。高木さんはこんなことしない。高木さんは、高木さんは──

 呻く喉の奥底で、彼女は必死に彼女自身に言い聞かせている。それも全て余すところなく伝わってくる。何故ならば、それが彼の能力そのものだったから。
 過度な感情にぐらりと目が回る。その拍子に男は体勢を崩し、組み敷いている彼女との距離を狭めることとなってしまった。
 目と鼻の先、互いの呼吸音すら聞こえそうな幽かな距離感。彼女が恐れのあまり息をのむ。男の癖のない髪が彼女に影を落とした。
 けれど男は感じた。感じてしまった。咄嗟に詰めずにいられなかったこの隔たりが縮まった瞬間に、彼女の腟内が収縮した事実を。

「た、かぎさ」

 己の名を言い終わる前に、陽物を子宮口に叩き込んだ。悲鳴が上がる。それと同時に、彼女の瞳から涙が流れ落ちた。

「ごめ、ごめんなさいっ、ごめんなさいぃ!」

 最早何度聞いたか分からない謝罪の言葉が吐き出される。男は額に滲む汗を煩わしく思いつつも、腰を動かすことをやめようとはしなかった。

「やだ、高木さん痛い、痛いです、お願いだからぁ、もうやめてくださいぃ!」

 きっと敵の能力が解けたら、いつもの優しい高木さんに戻る。だからそれまでは、耐えなければ。
 手のひらに爪痕が残るほど固い握り拳を作る彼女を見下ろしながら、男は自嘲気味に息を吐いた。その感情すらすっかりこちらに届いてしまうのだから困りものだ、と笑った。
 結合部からは透明な粘液と僅かな血液が混ざりあって目も当てられない状態になっていた。

 ──あんたは俺が動く度に痛いって泣きわめくけど、俺だって痛いよ。

 そりゃあ、慣らさずにいきなり突っ込んだのだから痛くて当然だけど。けれどそれ以上に、あんたからの感情をシャットアウトせず聞き続けてることの方がずっと痛くて、辛くて、苦しいものだって教えてしまいたい。あえて、教えはしないが。
 力任せに彼女の耳を食んだら、また「痛い」と泣かれてしまった。

 男は既に気付いていた。彼女が痛みを訴える度に己の加虐心が刺激されていることに。だからこそ、テレパシー能力を切らずこの行為に及んでいることに。
 男は既に気付いていた。彼女を無理矢理暴いたその理由に。
 決して敵の術中に嵌っているからではない。それを証明する術を男は持っているが、明かす必要が無いのだ。

 男と彼女の傍らには、鋭利なもので引き裂かれた死後まもない死体がある。男は知り得ている、この死体は間違いなく、彼女の手によって作り出されたものだと。
 けれど彼女は知らない。拙い能力で意識を失っている間に手をかけた事実は、誰かから知らされなければ知ることすらない。

(……ああ、春夏冬!)

 この衝動は、吐精するまで続くだろう。
 無防備に放り出された尾を空いた手で引っ張れば、彼女はたまらず咆哮した。さながら獣のように。
 なるほど、彼女を虐げたくなる気持ちが今の男には痛いほどわかる。文字通り「痛いほど」わかるのだ。
 きっと彼女はいじめられる天才、それに尽きる。そうでなければ、男がここまで非道な行いに至るわけがない。

 白い獣は再三泣いた。







2016/04/22
誠くんほんとごめん。
安心してください、ifストーリーですよ。




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