「その、あまり彼女を困らせたくないので、すみませんが失礼します。」
ハリーはそう言い、人混みの中へと入っていった。
レンは手を引っ張られるままに3人に軽く頭を下げて連れられていく。
隅の方にまで来ればハリーは一息吐き、レンも小さく息を吐いた。人が多すぎて、こうして手を繋いでいなければとっくにはぐれてしまっていたかもしれない。
「大丈夫?」
「有難う、大丈夫…思わず変な声が出て恥ずかしかったわ…。」
「うん、笑いそうになった。」
ハリーがニヤリと笑う所為でレンはその肩を軽く叩けば、ハリーは可笑しそうに笑う。
こんな何気ない瞬間が、ヴォルデモートが蘇り戦いが迫っている。なんて事を忘れさせてくれる平和な時間でどこか楽しい。
「高級蜂蜜酒の香りがするらしいわよ、私の血。」
それにハリーは肩口に顔を埋めれば「優しい花の香りしかしない。」と悪戯っぽく言うも、どこか自分でも照れくさかったのだろう笑ってしまっている。
「レンとハリー、此処に居たのね、良かった!」
そう言って近寄ってきたのはグシャグシャに乱れたハーマイオニーだった。
レンは空いている手で、ハーマイオニーの身なりを整えてあげれば、恥ずかしそうに有難うとハーマイオニーは言う。
「一体何があったんだ?」
「ああ、逃げてきたところなの。…つまり、コーマックをおいてきたばかりなのよ。ヤドリギの下に…」
「仕方ないわね、選んだんですもの。恋人宣言までしちゃって…存分に付き合ってあげれば良いんじゃなくて?」
レンは苦笑するとハリーも咎めるようにハーマイオニーを見ていた。
「ロンが一番嫌がると思ったの。ザカリアス・スミスではどうかと思った事もあったけど、全体として考えると…」
「スミスなんかまで考えたのか?」
ハリーがムカついた様だった。
「ええ、そうよ。そっちを選んでおけば良かったと思い始めたわ。マクラーゲンって、グロウプでさえ紳士に見えてくるような人。」
「ハーマイオニー、何度も言うけれどやり過ぎよ。仕返しに他人を利用するのは良くないわ。手遅れになってからじゃ…」
「いやだわ、あの人こっちに来る。あっちに行きましょう。」
レンは大きく溜息を吐き、3人は途中で蜂蜜酒のゴブレットをすくい取って、部屋の反対側へと移動した。
近くにトレローニーが居る所為か、ハリーはハーマイオニーに顔を近寄せて話している。
(P.155/全P.208)
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