レンにはその表情が何を隠しているのかは判らなかったが、シリウスが亡くなったあの日、本当に過去に行って2人の記憶に自分の事を残してしまった事に変な汗が出てしまっていた。
「それで、父親は俺だな。」
「希望的憶測かしら。」
「いや、確信だな。彼奴はふらついてたが一直線に俺の所に飛び込んで来た。俺と認識してた筈だ。…俺は自分の子があれくらいの時に死ぬんだな…。」
「ショック?」
「…まぁ多少はな。兎のお前が遺されたらどうなるよ。」
「その時はリーマスと再婚するわ。」
「お前なぁ…。」
人が真剣に話してるのに…と言いたげに深く溜息を吐くシリウスにアクアは顔を覗き込んではシリウスに口付け、冗談。とアクアは笑う。
「そうね、あの子はきっと自慢の娘よ。私が欲しいもの私にないものを全て持ってたわ。スタイルの良い体に可愛らしい見た目、アンタそっくりのムカつくまでにストレートな髪と意志の強い瞳。そして純粋な心。アンタ譲りで大切な人を深く愛せる子だった…優しい子だった。私が太陽ならあの子は月ね。柔らかな月光が安らぎをくれる様な…そんな雰囲気を持っていて、必死にヴォルデモートと戦ってる様だった。でもね、シリウス。貴方は私を置いて逝ったりしない。…あの子の背中には薄く虐待の痕がいくつも残ってたの…私の家にある道具よ…もう少し大人になれば消えるだろうけれど…。」
その言葉にシリウスは瞳を丸くしては信じられないという様な顔をしていた。
「シリウス…私が先にアンタを遺して逝ってしまうのよ…それでシリウスは仕事の間、娘をどこかに預けているのかもしれない。そこに兄が出入りしてるんだわ。私が生きていたら、虐待なんて起こらせないもの…。シリウス…忘れないで。あの子には両親がどんな事になろうとも愛されていたんだって教えてあげて。あの子の憂いの表情は、きっとシリウスが死んだだけじゃないと思うの。」
アクアがそう言うとシリウスは信じたくないと言いたげに強く抱きしめ、アクアもシリウスをしっかりを抱きしめる。
「…ねぇ、シリウス。これは私達にとって残っていて良い記憶ではないわ。お互いにお互いの記憶を修正しましょう?残り時間に惑わされてやりたい事も何も出来なくならない様に…あの子は…本来は此処に来てはいけなかった。貴方を心底愛して貴方に逢いたい一心だった…そんな純粋な愛を持った愛娘を未来を変える咎人にさせない様に…。」
そう言うアクアにとシリウスは小さく頷く。