「うちはキスから自然に、かな?」
「私のとこは、しよって言われる」
「うちはこの前拝み倒されたよー」
テレビでも、雑誌でも女の子があけすけに語る情事へのステップはどれもキラキラと輝いて見える。
じゃあ、急に押し倒されたら?
「ないわー」
「無理」
「怖い」
今まさに私を襲う状況は砂糖菓子の妖精のように甘やかな彼女たちが全否定したもの。
「勝己、重い」
「あ?慣れろ」
いつものことだろうが、うるは。
それもそうだ。
今まさに私に喰らいつかんとする淫靡な獣はこっちの事情など全くお構いなし。
いつだって急にのしかかって押し倒して蹂躙していくんだ。
「っ!」
「いらんこと考えてんな」
がりっ、と血が出るほどの勢いで噛みつかれた首。
ああ、明日からしばらくハイネック生活か。
「見えるとこ、やめてって前もお願いした」
「知るか」
俺は俺のやりたいように抱く、なんて艶やかに笑う勝己の顔が好き。
「キスしてよ」
「先に喰わせろ」
私のお願いなんて聞いちゃくれないし、私の都合なんて知ったこっちゃない。
仕方ないから何もかもあきらめて全部勝己にゆだねることにした。
「やればできるじゃねぇか、うるは」
いい子だ、って耳を食まれる。
「黙ってヤらせろ」
ない?
無理?
怖い?
ご冗談を。
飼いならされた私には、これぐらいの強引さがちょうどいい。