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2022/07/06(Wed)
七夕小説更新&ドラクエ小ネタ

▽文スト短編
文スト組で七夕

少しフライングして七夕小説です。
武装探偵社は仕事してない説。

小ネタはドラクエで七夕仕事書きたいなぁと思って、全然違う話になりました。
どちらかというと雨の話で無理やり七夕絡めてる。
喪失カミュです。


【雨の日の訪問客】


 この時期はこの地域は雨が多い。
 このような雨を五月雨というらしい。

 そして、雨の日には――。

 このカフェには、不思議なお客さんが雨宿りに来る。

「こんにちは」

 一匹の狼だ。青みかかった銀色の美しい毛並み。
 私が声をかけると、青い瞳がこちらを見上げた。

「君はどこから来てるの?」

 最初はもちろん驚いたけど、大人しくただそこに座ったままで、人を襲う気配はない。
 本当に雨宿りに来てるという風に。
 雨が上がると、ふらりとどこかへ行ってしまうのだ。

 不思議な狼さん。

「雨、今日は長引くみたいだよ。畑仕事をしているおじいちゃんたちが言ってた」

 返事は当然返って来ないけど、なんとなく話しかけてしまう。

 しばらく、私も少し間を開けて隣に立つと雨空を見つめた。

 この時期は商売も上がったりなのだ。
 暇人である。

「雨が上がれば良いのにね〜」

 そういえば、星の伝説のおとぎ話があったっけ……。
 雨が降ってると愛し合う二人は会えないとかなんとか……。

(なんだったかな、あの話)


 しばらく晴れ間が続き、あの狼とも顔を合わせなくなった。

 その日は久しぶりの雨で、あの狼さんは来てるかな――と外に出ると。

「あ……」

 あの狼の代わりに人がいた。
 青髪。ツンツンヘアーはこの雨の湿気で心なしかしんなりしてる。

「こ、こんにちは」
「こんにちは。すみません、雨宿りさせてもらってます」
「いえいえ、どうぞ雨宿りしていってください」

 慌てて挨拶すると、整ったクールな見た目とは裏腹に丁寧な挨拶と言葉が返って来た。

「「…………………」」

 なんとなく隣に立って、二人で雨空を眺める。
 狼の代わりに雨宿りしてきたのは、同じような青い瞳を持つ男の人。
 不思議なこともあるんだな、ちょっとあの狼と似てるし――と盗み見していたら、目があった。

「あの……あなたはオレのことを何か知りませんか?」
「え?」
「あ、すみません。いきなり、こんな質問して。実は……オレ、自分が誰か、今まで何してたのか分からないんです」

 悲しげに彼は笑う。

「記憶喪失ってことですか?」
「そうですね……そうだと思います」
「それは大変!」

 記憶喪失だなんて……。

「あなたとは、今日初めてお会いしたと思います。あなたに似た狼が同じように雨宿りに来てたことぐらいしか……」
「……狼?」
「あっいえ、ごめんなさい。全然関係ない話でした」
「良かったら詳しく聞かせてくれませんか?少しでも手がかりがほしいので」
「じゃあ、立ち話もなんですし、中でお話しませんか?うち、カフェなんです」


 雨の日。このカフェには、不思議なお客さんが雨宿りにやって来る。

Category: 更新
小ネタ ドラクエ


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