ハロウィンパロ!
カミュはビーストモード→狼→狼男のイメージですが、勇者は吸血鬼が似合うと思います!!
絵はそんな吸血鬼(一応)勇者です(色塗り挑戦)
【吸血鬼勇者】
この季節に行われるハロウィンというお祭りがある。
仮装をしてお菓子を貰うという一風変わったお祭りだ。
毎年、幼馴染みのファーリスとお祭りに参加するのだけど、ファーリスったらどこに行ったのかしら。
そういえば……去年より手の込んだ仮装をするって張り切ってたからまだ準備をしているのかも知れない。
ちなみに私は今年はシスターの仮装だ。
――ポンポン。
そんな風に肩を叩かれた。
振り返ると、カボチャで作ったジャック・オ・ランタンを被った人が目の前に。
背格好からして、ファーリスだとすぐに分かった。
「もうファーリス、探してたんだから。でも、確かに手の込んだ仮装ね」
頭はジャックオランタンで、服は吸血鬼みたい。
「じゃあお菓子を貰いに行こっか」
するとファーリスは私の手を取り、目的地とは反対方向に歩き出す。
「ファーリス?どこ行くの?」
訪れたのは人気のない場所。
こんな所に何か用でもあるのだろうか。
「ファーリス?」
再度名前を呼ぶと、返ってきたのは違う声。
「ごめんね、僕はファーリスさんじゃないんだ――」
ジャック・オ・ランタンの被りものの下から、さらりと髪が揺れる。
中性的な綺麗な顔が現れた。
「初めまして、お嬢さん。僕はユグノア王国から来た吸血鬼の王子……」
ユグノア?吸血鬼?王子?
情報が多すぎて何がなんだか……。
――ん?吸血鬼?
「たまたま遊びに来たら、シスターの姿が似合うこんな可愛い人に出会えるなんて、僕は
憑いているね」
「あ、あの吸血鬼って仮装ですよね……?」
目の前にいる彼は不思議な雰囲気をしているけど、まさか本物なんて……
「ふふ、本物の吸血鬼を見るのは初めてかい?正真正銘の――僕は誇り高き血を受け継ぐ吸血鬼さ」
そう笑った彼の口許には、八重歯にしては発達した鋭い二本の歯。
ま、まさか本当に本物……!?
「君をお持ち帰りする前に味見をしたいな」
おっおっお持ち帰り!?
無害そうな顔して何を言ってるの!?
それに味見って……なにーー!?
「ま…っ待って、待ってください!」
「何かな?」
近い、近い、近い!!
「味見って何するんですか……」
「そりゃあ吸血鬼だからね。味見といえば一つだよ」
顎をクイっと持ち上げられる。
空のように透き通った青い瞳。
吸い込まれそうになる。
「僕の瞳、吸血鬼っぽくないでしょ。でも、血を吸うとちゃんと赤く染まるんだよ」
血を吸うと……
「って、なにナチュラルに脱がそうとしてるんですか!?」
「全部は脱がさないよこんな所で。風邪引いちゃうし。首筋を露にしてもらえないと血が吸えないじゃない?」
「いや、勝手に吸わないでください!」
「ふふ、怖がらなくて大丈夫だよ。味見程度の量だし、痛くしないから」
「そういう問題じゃないんですよ!!」
なにこの吸血鬼。ニコニコ綺麗な笑みを浮かべながら強引に事を進めて来る……!
必死の抵抗もむなしく、首筋にかかる吐息。
「じゃあ、いただきます……――」
吸血鬼が妖艶な声色で言った言葉の後に、遅れてチクリと痛みがやって来た。
(痛くないなんて嘘つきだ……!)
Category:
小ネタ
♯
小ネタ ドラクエ 絵