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2022/11/06(Sun)
ドラクエ11長編:時のオリフィス

第69話 白の入り江

【ドラクエ11/選択肢B】


「あの……失礼を承知でお願いがあります!キナイの様子を見てきていただけませんか?私にできることならなんでもします!」

不思議な入り江で出会った人魚のロミア。
彼女の頼みごとに、ベロニカが答える。

「う〜ん。人魚の住む海底王国か……。ロミア!あなたの頼みを聞いてあげるから、なんとかしてあたしたちを海底王国に連れていってくれない?」

「はい!お安いご用です!あなた方の船を、人魚に伝わる秘宝で海にもぐれるようにして差しあげます!」

 どうやら、交渉成立のようだ。

「海底王国に行けば、海底に沈んだオーブの手がかりが得られるかもしれないわ。ロミアの頼みを聞いてあげましょう?」


――マルティナに問いに、突然宙に現れたやつ。

「はい」か「いいえ」の選択肢のコマンドだ。

こんな風に、時々勇者の前に現れる。

(いいえを選んだらどうなるんだろう……)

いつもの彼なら二つ返事で「はい」の方を選ぶが、今回は何故だか好奇心が勝った。

はい
▶いいえ

「…………ハッ!」
「!?」

マルティナの蹴りが勇者を襲った。
自分の顔、横スレスレで止まった蹴りに勇者はたじろぐ。

「いきなり何するの、マルティナ!?」

「ごめんなさい。急に身体を動かしたくなったわ」

「はぁ!?」

そんな急に身体を動かしたくなって、回し蹴りなんてあるか――!

「……それじゃあ、もう一度聞くわね?」

――脅しだ。これは脅しだ。
返答によっては、今度こそ蹴りをお見舞いするぞ、という脅しである。
にっこりと笑顔で(だがしかし目は笑っていない)マルティナは再び勇者に、一文字一句同じセリフで問う。

「海底王国に行けば、海底に沈んだオーブの手がかりが得られるかもしれないわ。ロミアの頼みを聞いてあげましょう?」

…………………。

▶はい
いいえ

はい
▶いいえ
 
▶はい
いいえ
 
「…………もちろんだとも」


選択肢が出てたのに、勇者に選択肢はなかった。
そして、文字通り選択を選ぶ時は、慎重になろうと勇者は心に誓った。

「勇者が二つ返事じゃないなんて珍しいね」

「つい好奇心による出来心で……」

彼女の言葉に、トホホと答える勇者はあることに気づく。
自分と同じようにヨッチの姿を見える彼女なら、選択肢のコマンドも見えるのではないか。

「セリフの上にコマンドが出てきて、選択肢を選べるんだけど、君は見たことある?」

「セリフ??コマンド??」


――どうやらそれは、僕にしか見えないらしい。

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